第23話 火番
寝る前に足先もきちんと乾かす。雪靴を脱いで乾いた布で足を包んだ。カイとケイはそれぞれの
座っている順でカイとシュン、メイとケイがそれぞれ布に
「火の番はどうする?」
「お前と私でやろう」
「じゃあ俺が先にする。後で起こす」
「ああ」
短いやり取りで決断が早いのはそれだけいつも共にいるからだ。しかし初めてそれを目にするシュンとメイには、場馴れした先輩達に尊敬の念を抱かせるに十分であった。
安堵感からか
ケイは微笑みながら、
「疲れが出たんだろう」
と小声で言った。
「ふふっ、かわいいですね」
「幼きものは
ケイも再び小声で返す。
「私も弟が居るのですが、このように可愛らしくはありません」
「そういうもんか?」
カイが聞くとシュンはしかめ面で
「生意気です」
と言う。それが
「何で笑うんです?」
「
笑われてシュンが頬を膨らませカイを睨みつける。と、カイがその顔を隠す為の黒布をつけていない事に今更気がついた。
しかし指摘したり
シュンはそのまま静かにカイの横顔を見た。
『
焚き火の炎が揺れ、カイの横顔にも影が走る。
ケイが「そう言えば」とシュンに向かって話を始めた。
「次の行軍は無い、と言っていたね。年が明けたら君は
祝い事ではあるのだが、シュンはその問いに答えるのにやや
「…十五になります」
「
「…春に生まれたので春まで教練校に行っても良いと、父から許可を頂きました」
シュンの冷めた口調に、カイは思わず口を出す。
「あまりめでたくない物言いだな」
「はい。教練校において、女子は十五で校を出なければなりません」
「男子は二十歳まで居ていいからな。大抵の者は
「私はまだ本科を修めておりません」
「そりゃ男子が修める課程だろ」
カイが驚いたように言う。どうやら彼女の口調からすれば、貴族のお嬢様の気まぐれで教練校に居るわけではなさそうだ。
つづく
次回『夜話』
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