第15話 出立
「重い物は俺らが持つ。薪を少しと
カイはそう言って
シュンがふと見ると、カイもケイも背に剣を背負っている。
「剣も持って行くのですか?」
「お前、何のための行軍訓練なんだよ。雪の中の
「…私達は何を持てばいいのですか?」
「君達はこれにしてはどうかな?」
ケイが長さの違う
「
メイとシュンは受け取りながら
「じゃあ、行くか」
カイを先頭にシュン、メイ、そして殿をケイという順番だ。登山口には人が集まり、既に何組かが出発した様であった。
カイが進むと皆が道を開ける。
「シュン姐、さすが『
シュンの後ろからメイが話しかけてくる。シュンはその道を開ける生徒達が自分とメイをも見ている事に気がついた。ざわざわと皆が
彼女が一体何事かと内心不安に思っていると、再び後ろからメイが明るい声で、
「注目されてますね!やっぱり『白兄』と『墨兄』と一緒ですもんね!」
「そんなに注目される様な事なの、メイ?」
「もちろんです!お二人はいつも二人だけで行動されているんです。四人組の課題だろうが八人組の課題だろうが自分達だけでこなしてしまうんです。去年だったかな?二十人組で模擬戦を行うのに、たった二人で二十人をねじ伏せてしまったんですよ!」
「二十人…それはすごいね」
「そうです、そうです!そんなお二人がボクらと組んで頂けるなんて…。でも本当に珍しい事なんです。皆に注目されるのも仕方ないかと思います」
「なるほど…」
嬉しさで多弁になるメイと話ししていると、カイが振り向いて一喝する。
「無駄話をしてるんじゃねえ。これから体力を使うんだ。余計な事をしていると直ぐにバテるぞ」
「はいっ!」
シュンとメイは声を
登山口は広かったが、少し山に踏み入ると直ぐに一人がやっと通れる程の狭さになった。
足場は雪が踏み固められ、柔らかな雪に足を取られる事はなさそうである。
しかし踏み固めた雪は所々氷の様に滑りやすく、注意が必要となる。時折、地面が
これもまた足を取られ易く、メイは何度か転びかけた。それを直ぐに真後ろのケイが支える。
カイとケイは何度か来ているだけあって慣れたものだった。シュンはカイが踏んだ所を通る様にしていたが、歩幅の違いが出てバランスを崩す事もしばしばだ。
それでもなんとかついて行く。
が、急げば息が切れて調子が乱れる。
(これでは足手まといそのものだ)
シュンは歯噛みした。
つづく
次回『力強き腕を』
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます