6話 殺意

今日は模試が帰ってきた。

なんとか全教科満点がとれたようだ。周りは「やっぱすげぇな」

「あんだけ勉強してるもんな、見習おう」

などと噂している。

満更でもなかった僕は、顔をほころばせた。


しかしその噂のなかに気になるものがあった。


「マサヤ、また満点だってよ」


「すげぇなー。オレ、あいつみたいな天才に生まれたかったよ」


天才、

タカキの頭をその言葉がぐるぐると回る。

天才、てんさい、テンサイ……

またマサヤとかいう男だ。やはり才能を持つものは羨ましがられるのか、いや、僕にだって才能が……


「努力しなくても頭良いやつって羨ましいよなぁ」



それは、僕への嫌みか。

憎い


努力しないで人から羨ましがられるなんて。

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天才 伊織 @SENNPO

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