第100話 年末
12月31日、私の部屋。
今年も3時間のみと迫る中、私の隣にはいつもと変わり映えなく鳴瑠くんがいる。
深夜になろうとしている時間に、彼がいるのはお泊りに来ているから。
明日の朝までずっと一緒にいられて、過ごせるのがとっても嬉しくって、頬が緩んでしまう。えへへー、嬉しいよぉー。アホ毛もぴょんぴょんしちゃう。
今回のお泊りで、3回目。
何度か繰り返しているイベントだけど、なかなか慣れるものではない。
とはいえ、今回のお泊りに関しては過去のものとは決定的に違う点がある。
それが何なのかと言えば、パパとママが家にいるってこと。
だからこそ、1回目、2回目の時のようにえっちぃことを夜から朝までやるってことはできないでいた。まぁ、毎度ワンパターンだとダメだと思うし、変化を与えるのもいい機会だったかも。そう思うことにしておく。
あ、でもちゅーはするよ、もちろん。
ちゅーはほら、健全だし?
家族でも小っちゃい子とかは、パパやママにしたりするわけで。
そんなわけで、今日の私たちのスキンシップはべろちゅー多めであった。
べろちゅーも健全だよね?
どこまでが健全なのか問題とか。
変化の入れ方が『健全』にすることだったり。
そこら辺は目を瞑り、私はこうして過ごしてみて思うことがある。
それはもちろん、えっちぃことをしていなくっても鳴瑠くんと一緒にいるのが楽しいってこと。一緒だったらなんでもいいのが私であった。
でも、鳴瑠くんは違うかもしれない。
だって、男の子で、健全なら好きな子と同室で一晩一緒ならえっちぃことがしたいかも。ほら、彼だって思春期の健全な・・・・・精神年齢的に思春期いってるかな?
自分で言っていて、段々と自信をなくしてきてしまう。
ま、とりあえずだ。
相手は鳴瑠くんだ。私のことが大好きで、とってもえっちぃ子。
だからね、そのぉー、むらむらだったりしちゃうかも。
で、私とね、えっちぃことがしたいのかも。
そうなれば話は別。
もうね、パパとママにバレてもえっちぃことしたあげるね、ほんと。
だって、可哀想だもん。
あ、別に私がえっちぃことしたいわけじゃないんだからね‼
勘違いしないでよね‼
私、えっちくないもん‼
と、誰に向けるわけでもないツンデレを披露しながら、えっちぃことができないことに耐えかねているかもしれにない鳴瑠くんの様子をみて見ることにした。
そちらを見てみれば、コントローラを両手から落とし、こっくりこっくり身体を前後に動かしている鳴瑠くんの姿。ロックに目覚めてヘッドバンキングをしているわけではないだろう。彼がそれに目覚めたなんて話は聞いてないし。何より個人的な意見としては、私の鳴瑠くんには可愛くいてほしいし・・・・。
では、どうしてそんな状況になっているのかと言えば、目覚めるというよりかは、その逆の眠りに入りそうであるため。ようは、眠気に襲われ船をこいでいるよう。
む、私を襲わないで、眠気に襲われるなんて‼
私のえっちな気持ちは――本音が出そうになるのをグッと我慢して訊ねてみる。
「眠い?」
「んーん。ねむくない。だって、きょーはずっと起きてるもん」
「あはは」
苦笑いする私。
だって、そんなことを言う鳴瑠くんの瞼は既に9割方・・・・いや、今完全に閉じてしまった。やせ我慢というか、眠いのを我慢する彼の姿にショタ感を感じてしまう。余計に興奮してきちゃう私がここにはいました、ええ。
思いながらも、思い出す。
彼が今日、ここに来たときに言っていた言葉を――。
――「今日はずっと璃月といるからね。僕、明日まで寝ないで起きてるんだ‼」
言われてとっても嬉しかったな。
ずっと遊べるわけで。
でも、同時に私はそれを聞き、思った。
これは絶対に寝るなって‼
案の定、フラグは回収されていた。
基本的に、これ言った子って寝るよね。私も覚えがあるし。
はぁー、ショタ感やばい。これは余計に興奮しちゃう。
こんな気持ちになったら、私だけ寝れないじゃん。寂しいなー。
とはいえ、起こすようなことはできない。
だって、彼の寝顔を見るのも好きだし。
あ、でも私の言いたい言葉ランキングの上位にあるやつが言えるじゃん‼
「なーるーくん。おこたで寝たら風邪、引いちゃうよ?」
これね。
めっちゃ言いたかった。
テンション高めの私。そんな私に彼はこう言う。
「ねて、ないから・・・・へーき、だもん」
「んんんんん――ッ‼」
声にならない声を発する私。
きたぁぁぁぁぁぁ、寝てるのに、寝てないって言う可愛い発言‼
テンションはもはや、限界を声ようとしていた。
身もだえそうになるのを我慢する中、彼は言葉とは裏腹に私の肩へとその頭を座標させる。どうやら自身の力で身体を保っていることが完全にできなくなったようだ。
いいよ、別に、私の肩ならいくらでも貸すからね‼
てか、私の肩とか、鳴瑠くんのだから、マジで鳴瑠くんのだから永遠に枕にして‼
まだテンションの天井ではなかったことが私でも驚き。
彼は寝心地のいい場所を探すように、私の肩の上でもぞもぞ動く。
最終的にはいい位置が見つかったのか、「むにゃむにゃ」と幸せな顔をして。
――はうっ!?
一瞬、意識をどこかに持っていかれていた。
なになに、鳴瑠くんは私をそんなにきゅんしさせたいのかな‼
私的には本望だけど、彼が喜ばないことを知っているので、どうにか踏ん張る。
おっと、いけないよ、私。
私は鳴瑠くんの保護者なとこあんじゃん(ない)?
だから風邪を引かないように、お布団に入れたあげる義務があるわけで(ない)。
私は思うがはやく、連れていったあげることにする。
だけど、1つ問題があるなー。
ここにあるベットって衣服厳禁なんだよね。
仕方ないね。今日は健全にいこうとしたけど、お洋服は脱がせなきゃ。
おこたから鳴瑠くんを引っ張り出すと、「待ってました」と服を脱がし始める。
しかも、
「鳴瑠くんーぬぎぬぎー、お洋服、ぬぎぬぎー」
謎な歌まで口ずさむ。
もうノリノリな私がいた。
まぁ、今年も終わりだし、少しくらいえっちになってもいいよね。年末だもの。
ちょっとくらい恥かしい行動をしていても、年末なら許される。
いくら食べても来年にカロリーが持ち越されないのと同様に、恥かしい行動をしても来年に記憶とか引き継がれないの。なんてアホなことを考えながら脱がす。
あ、その理論から言ったら黒歴史とかなくなるじゃん。
もう私も寝たほうがいいと思う。
そうこうしているうちに、鳴瑠くんを裸にし終わる。
「うん、良い眺め‼」
可愛い体が全部、見えちゃう。
にしても、今日は元気ないな・・・・ちょっと寂しい。触ればもしかして――。
何のことかわからないことが頭をよぎりながらも、私は「うんしょ」と鳴瑠くんを持ち上げる。ちょっと大変だったけど、鳴瑠くんの体重は呆れるほどに軽いので、私1人でもなんとかベットに横に寝かしつけて布団をかけてあげられた。
気持ちよさそうにスヤスヤ寝る鳴瑠くん。
寝顔が可愛い。
食べちゃいたいくらい・・・・夜這いをかけたいくらい。
おっと、いけない。
危うくダークサイドに行ってしまうところだったよ。
はふーと深呼吸をして落ち着いてみる。
どうにか気持ちを整えると、いったん部屋を出てリビングに降りることに。
パパとママに鳴瑠くんが寝てしまったことや、私も寝てしまうことを告げるため。こうすることで、パパとママが部屋にくるリスクを下げられる。これを怠ると、日付が変わったタイミングに「あけおめ」を言いにくる可能性があるためだ。
ふふふ、これで誰にも邪魔されずに、寝てる全裸の鳴瑠くんと一緒にいれる。
ようは、私のターン。
ここまでずっとだった気もするけど、いいの。
悪い笑みを浮かべてカチャリ。
部屋の鍵を閉めた。
部屋に戻ってきた私は、さっそくお洋服を脱ぎ始めて全裸に。
もちろん、全裸の鳴瑠くんが待つベットに向かう為である。
お洋服にしわが付かぬように綺麗に畳んで、いざベットに。
で、そこにいたのは・・・・・。
「鳴瑠くんが私の枕に顔をうずめてる!?」
仰向けに寝かしたはずなのに、彼は枕にうつ伏せになるように寝ているではないか。もしかして、寝ていながらも私の匂いを嗅いでる可能性が・・・・。
ここからは私のターンだと思っていたのに、先手をとられた。
さすがは鳴瑠くんだよ。
寝ていてもえっちさは変わらないと。
自分の彼氏を侮っていたことが恥ずかしくなってしまう。
だが負けてはいられない。
私はとりあえず、お布団の中に入ることにした。
そんな時、彼は私がお布団の中に侵入したことに気づいたのか、寝返りをうつように再び態勢を変えて私の方を向き始めてくれる。どんだけ私のこと好きなの、知ってたけども。寝ていても私を察知し、こちらに寝顔を向けてくれるのが嬉しすぎる。
感動しながら、もぞもぞ進む。
中は既に彼の体温によりぬくい。
はふー、とため息をつき一心地。
それからも進行は続く。
遂に鳴瑠くんの元までやってくる。そのままぎゅーっと裸の鳴瑠くんを裸の私は、身体を絡ませるように抱きしめてみた。はわわ、これはっ‼
すべすべの鳴瑠くんのお肌。
それが自身の皮膚に触れて、肌触りがめちゃくちゃいい。
ずっとスリスリしていたい。
いや、した。
頭の先からつま先まで、至るところを全身をつかって擦り続ける。絡み合うように抱き合っているので、密着度はいつも以上と言えるだろう。故に快感も倍‼
はわわ、しゃいこぉーだよぉー。
バカになっていた。
ま、これも今年最後だし?
何より来年には(以下略)。
1人、楽しむ私。
・・・・、・・・・だけど。
なんか寂しくなってきちゃう。
だって、いつもなら、こんなにえっちなことをしていたら鳴瑠くんはえっちに鳴いてくれるし。私にやり返しをしてくるまである。なのに、それは寝ていることでないわけで・・・・・。自分勝手だとわかってながら寂しかった。
「ばかなる。寝るのはやいよ」
「むにゃー」
「むー。幸せそうにねちゃってさ」
頬をツンツンするが、いつもみたいには喜んではくれない。
ふてくされ、私は頬を膨らませる。
あーあ、起きてくれないかな。
思うものの、起きてはくれないし、起こすことも可哀想だからできない。
今はこの想いをどうすることもできず、とりあえずはおでこにちゅーをしてふて寝してしまうことにした。
彼と一緒に寝れば、同じ夢でも見れるかもしれないと淡い期待をして。
おでこに口づけをして、小さく「おやすみ」と口にする。
お布団の中に潜って、彼の胸の中に入ると、目を瞑った。
こうして鳴瑠くんと出逢った今年も終わりゆく。
そして、新たな年が始まりを迎える。
少し前まで終わることが嫌でしかない私だったけど、今はそこまででもない。
きっとそう思うようになったのも、鳴瑠くんのおかげなのだろう。
彼がいてくれるから、今年が終わっても、来年はもっと楽しいことができると思えるし、楽しいことが待ってると思えてしまう。少しずつ変わってきているようだ。
カロリーは次の年に引き継がれないけれど、思い出は記憶として残ってゆく。来年も、その次の年も一緒にいて、いっぱい楽しい思い出を作りたいな。
自論を交えた自分勝手なこと考え、さらに「明日からの来年は何をしようかなぁー」なんて思う。そうして未来を楽しみすると、笑みがこぼれ、そのまま意識を手放し彼と同じ場所にゆく。
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