第23話 テスト終わり

 全科目のテストが実施され、本日の学校は午前中には終わりを迎える。テストからの解放感からか、のびのびと晴れやかな気持ちが心の中に広がる。


「んー、自由っていいね」


 状態を逸らして伸びをする璃月。

 身体を逸らしたことにより、璃月の胸が強調され、うん。最高な眺めだった。ただただガン見した。


「鳴瑠くん。おっぱい見過ぎ」

「あ、ごめん」

「別に見ても構わないけど」

「え、じゃぁ見させてもらおうかな」

「どうぞ」

「じー」


 僕はお言葉に甘えさせてもらうことにした。

 上から下から右から左から。斜め上、斜め下、正面やら背中から、それはもう全方位からみてみる。

 うーむ。ふむふむ(凝視しながら)。


「うん、この右斜め下からの角度。これがいい」

「いいと言ったのは私だけど、マニアックすぎるよ」

「でも、璃月はどの角度から見ても可愛いから安心して」

「私、別にそこを心配したわけじゃない。そもそも、君。おっぱいしか見てない」


 そんな言葉を無視して僕はただただ凝視し続けることにした。

 満足いった僕は、彼女に訊ねてみることにした。


「それで璃月。テストどうだった?」

「それはもうバッチリ。平均点はいける」

「それはなにより」

「鳴瑠くんの方こそどうなの?」

「んー、僕も学年1位をとれるくらいかなー」

「待って。私と同じくらいの点――平均点が取れてるくらいのテンションで学年1位をとっておこうとしないで」

「ごめんごめん」

「とゆーよりも、私が訊いたのはソッチの具合じゃない」

「ん?」

「私が訊いたのは、鳴瑠くんの膝枕コンディションの話」

「それを心配するの!?」

「うん。私にはとっても大事なご褒美だもん」


 僕と璃月は約束をしていた。

 勉強が苦手な璃月が平均点をとれれば、ご褒美として『膝枕+なでなで+耳かき』をするというもの。

 どうやらそれについての話らしい。


「とりあえず、毎晩イメージ耳かきに、エア耳かきをしていたよ」

「そんなことをしている人が学年1位を余裕でとれてしまうとは、才能こそが1番の暴力なんだと私は思うよ」

「ただの耳かきの話から、どうしてそんな深い話しにいけるんだろうね」

「不思議だね」


 ほぼほぼ、というか。全てが茶番でしかない話はさておき。


「耳かき。楽しみにしておいてよ。極上の時間を味合わせてあげるから」

「楽しみにしてる」

「でも、これで平均いってなかったら悲しいね」

「大丈夫。君は優しいから、少しくらい点数が届かなくってもやってくれるって、私知ってる」

「変な期待のされかたな上に、もはやご褒美とは何なのかわからなくなってきてるよ」

「細かいことは気にしちゃダメだよ」


 微笑む璃月。

 僕自身も、細かいことはどうでもよかった。


「とりあえず、もうそろそろ帰ろうか」

「うん。いよー」


 そう言って、僕たちのいたこの場所――カーテンの中から出ることにした。今までの会話は全て教室のカーテンの中で行われていたのだった。

 抜け出す僕たち。

 そんな僕たちを待ち受けていたのは、恥かしそうに顔を赤らめるクラスメイトたち。どうやら、僕たちの会話が全て聞こえていたようだった。

 ヤバい。イチャイチャしてるところを聞かれてたとか興奮するんだけど。


「・・・・」


 璃月からはジト目が送られる。

 やめてほしい。余計に興奮しちゃうから。

 テストが終わると性癖まで解放してしまう。僕はそんなことが学べた、高校生活初めてのテストだった。

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