アイドルは今日も多忙
「マグー、まったく、マグナが脅されたマグ」
「別に伝えてもよかったのではありませんか?」
「マグ」
「とりあえずそれは置いておくとしまして、あちらの件は暇な方を摘んで向かわせておきますね」
「マグ」
「その感動詞で全ての感情が伝えられると思ったら大間違いでございます」
「マグ」
「全くいつも貴女の意図は次元が別かと思うくらい図りかねるのでございます」
そう言って、フェルニーは立ち去る。
馬鹿にしている訳では無い。むしろ褒めているし、その上信用を表している。
「あたし何でこんな暇っ子キャラになってんのよ」
「あらあら、出番が多くていいじゃないですか?」
早速セリフがメタいのは、臭素のベル。
「わ、私、ベル自身からは匂いは発せられてませんよ!確かにその、臭素は臭素ですから発することは出来ますけど、蒸気とか出そうと思えば出せますけど、子供用パジャマとかに私含まれてますからねー!」
「どうしたのよ急に」
「いえ、何でも」
ベルにとっては重要な問題なのだ。ベルにとっては。
暇っ子元素エインは
「いやあ、あたしも人気よね〜困っちゃう」
「暇ですからねえ」
「フォローするのか貶すのかどっちかにしなさいよ」
今日も暇、元素のアイドルエインちゃん。
「だから!暇人キャラ付けんなっての!」
喚く彼女の声は
さて、今回二人は神樹の森へと向かっている。
ビアンカから西の岸へ行ったところあたりに、レスティという里がある。森の民の里と呼ばれている。
そして、その中心にあるのが神樹の森だ。
その名の通り、神樹がある森である。
地域の移動なので、やはり列車を使う。
「北西側は街にも緑が多いわねー」
「何も無い田舎だの言われますけれど、私は温かくていいと思いますよ」
「ほー⋯⋯う?」
北側の高地を通っているので当然寒い。世間からすれば不思議な感想なのかもしれない。
まあ、そのような子がいても何もおかしいことはない。なにせ118人118色にしたいから⋯⋯色なのだ。
「頑張れよ知識発想力妄想力フル活用しろよ」
「それより、もらった資料の確認しましょ」
「うぇ?あーうん」
ベルお姉ちゃんに言われて、カバンから資料を取り出す。
まず、依頼者はレスティの住民たち。
目的は神樹の森の凶暴化した動物達の調査。
その兆候は二週間前からぽつぽつ現れていたのだが、一昨日あたりになって無視出来ないほどになったようだ。死者はまだ出ていないが、怪我人は大勢居るという。
神樹の森の植物を薬などにも使用しているため、森に入れないと困ってしまうとのことだ。
いつ人里に現れ襲ってくるかも分からないので、何人もが協力して、大掛かりな術式を組んで結界を張っているようだ。しかし長くは持たなそうなのだという。
「ふうん、何だか大変なのね」
「まあ私たちに依頼してるんですからね」
「そりゃそーだ。とにかくあたしらはその異常事態について調べりゃいいのね!」
意気揚々と言う。簡単に言ってのけるが、それほど容易いことではない。エインがそれを分かっていない訳ではないが、そんなことは気にしないのが彼女である。
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