ミイラ取りはミイラになるか?

「え、エインさんですか?」

「見てないのって⋯⋯」


 個室その1。黒髪おさげの制服少女ホウコ、ホウ素と、透明感のある水色の短髪と瞳が綺麗な少女ルル、テルルは首を横に振る。


「でも、さっき廊下ですれ違ったのって」


 右目を覆う前髪を揺らし、耳のあたりに着いている羽をピコピコさせながらルルは言う。

 原理は不明だ。⋯⋯本当に生えているのだろうか?


「そうなんですか?あっ、ごめんなさい私はずっとここにいたので⋯⋯ごめんなさい私地味なだけで何のお役にも立てな」

「お日様が沈む方に向かっていったのって」


 ルルの瞳に悪意はなかった。


「な、なるほど。ありがとう、探してみる」



 そして今度は別の個室。

 誰もいなかった。



 次の個室。

 誰もいなかった。



 またさらに別の個室。

 キャシィが暖炉の炎を橙赤色にして遊んでいた。

 見なかったことにした。



 またまたさらに別の個室。

 スイジーが本を持ったままお昼寝していた。

 静かにドアを閉めた。



 なんとさらにまた別の個室。

 マグナがパソコンを三台同時に操作してなにかブツブツ言っていた。

 そっとドアを閉めた。



 物置。

 ストロンチウムのストールが時計を3つ並べて眺めていた。

 ドアはもともと開いていたのでそのままにした。



 またやってきた個室タイム。

 エヌーゼが蝋燭の炎を黄色にして遊んでいた。

 お前もか、ドアを閉めた



 個室。

 あれ、ユキエはさっきまで広間に⋯⋯。

 ドアを閉めた。



 結局、見つからなかった。諦めて広間に戻ろう。

 そう思い、戻ってきたのだが。

 居た。

 カウンターに座って、フェルニーと話していた。


「⋯⋯」


 無性に腹が立ったので、青緑の炎を纏ってヘッドスマッシュした。


「あだぁっ!?」

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