銀色捜索網
鉱物のように光沢のある栗色の髪を、小指でさらりと掻き分ける。
緑色の瞳は光を吸い込み、同時に光を跳ね返しているようである。
白いチャイナドレスに身を包んだ少女、ユキエは、賑やかなElementsの広間の隅にポツリと座っていた。
高貴で美しい元素、金。
ユキエが座っている椅子と机の近くには、本棚がある。そこには、過去の事件、依頼の資料などが置いてある。
「ユキエ、何を読んでいるんだ?」
赤茶色のおさげ、赤い瞳の少女、キュオルは歩いてくると、隣に座る。
丈の短いノースリーブの着物を着ている⋯⋯正しくは、肘の上あたりから袖先だけはある。
彼女は銅である。
「アラ、キュオル。マグナから頼まれてネ。過去に、局地的に木が枯れる現象があったかどうか調べテと言われたノヨ」
普通のにほ⋯⋯こほん、エルスメノスの公用語だが、どこか特徴のある話し方だ。
「ふむ。何かあったのか?」
「そうらしいワネ。私もよく知らないケレド」
よく知らないのに調べているのか、と心の中で突っ込む。
「それよりあなた、お暇なら頼まれごとをしてくれないカシラ?」
「⋯⋯えー」
「失礼する」
図書室の扉を開け、キュオルは中を覗く。
「あら、キュオルちゃん。どうかしたんですか?」
「怖い魔物とかはいないのよー。安心してでておいでなのよー」
恐る恐る覗いたつもりは無いが。
中にいたのは、二人の少女。
茶色いセミロングヘアに茶色い瞳の臭素、ベル。
もう片方は、薄紫の高く結んだぐるぐるツインテールに紫の瞳、そして掃除箒がトレードマークのヨウ素、イヨ。
「エインを探していてな⋯⋯」
「エインちゃん?」
「ああ。あいつは見つけようと思ったら見つからないんだ。全く何処をほっつき歩いているのやら」
「神出鬼没なのよー」
気がつけば掃除を始めているイヨ。伊達箒ではないのだ。
「エインちゃんですか⋯⋯うーん、ついさっきまで、最近撮った写真を見せていたんで、まだElementsにはいると思うんですが」
ベルはエインと仲が良い。ベルは写真を撮るのが趣味で、エインはそれを見るのが大好きらしいのだ。。
「ありがとう。別のところを探すよ」
「はいはーい、またねなのよー」
ドアを閉じ、次はどこへ行こうかと考える。
ふむ。そうだ、あそこにしよう。
行き先を決定し、赤い絨毯の敷かれた廊下を歩き出す。
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