最終章part25『刑事志願』
網浜:道玄坂 ライブハウス・マーキュリーFM ベンチ 外 夜
アミリンです。
凜の記憶が戻った事を、皆が喜んでくれました。
特にヒガシさんが大喜びで、凜を抱きしめてきました。
凜と東矢さんは、会場から少し離れたベンチに腰掛け、二人きりで話をしました。
「なあ網浜」
「なんですか、ヒガシさん」
「警察官って、今からでも成れるのか?」
「条件を満たしていれば成れますよ、それがどうかしたんですか?」
「今回の一件でさ、俺、誰かを守りたいって、心の底から強く思ったんだ」
「そうですか~」
「なあ、俺、今から、刑事目指してもいいかな?」
「あはは、いきなりなんですか? 不可能じゃないですけど、時間かかりますよ~?」
「今回の実績で、何とかならないか?」
「う~ん、どうでしょう。凜にはわかりません」
「お前の口利きで何とかしてくれよ」
「そういうことは凜じゃなくて、今井警視に相談してくださいよ。」
警察のネットワークへの不正アクセスがばれてしまった凜は懲戒免職も覚悟の上でしたが、探偵時代も含めた過去の実績と今回の事件解決の功績、そして警視に昇格した今井さんの尽力のかいもあって、巡査長から巡査への降格、六ヶ月の停職、減給処分という寛大な処置を頂くことになりました。
「決めた、俺、レインバス辞めて刑事を目指す」
「ヒガシさん」
「刑事になるの、いつになるかわからないけど、いつかお前と一緒に捜査したいな」
「ヒガシさん・・・凜、待ってますよ」
「ああ、待っとけ。男、東矢宗継、刑事を全力で目指してやるぜっ」
網浜:警視庁 個室 今井の執務室 昼。
後日、凜は警視に昇格した今井さんに呼び出され、警視庁の今井さんの部屋にやってきました。
部屋にはとてもカッコいいけど、ちょっと悪そうなイケメンの若い男性もいました。
この人は、確か牧野さんのお兄さん?
「なぜ、ここに?」
「ほっとけよ・・・・」
「彼も俺が関わった事件の協力者なんだ。六本木でも一緒に戦ってくれた」
「そうなんですかああああっ」
「大声出すな、うるせえぞっ」
「す、すいません」
「ふう・・・元半グレにクズの姉妹か。正直最悪の組み合わせだが、中々役に立ったぞ。
今回の一連の事件では、特にキミの妹には色々助けられた。少しは妹を可愛がってやれよ、網浜」
「はい・・・」
「だがそれ以上に、キミの能力は我々警察にとっては必須だからなっ」
今井さんはぶっきらぼうにそう言います。
「ありがとうございます。今井警視」
「ただし出世は諦めろよ」
「そんなの凜の頭にはありませんよ。復帰したら、これからもひたすらに事件を解決していくだけです」
「死ぬほどこき使ってやるからな。頼んだぞ、網浜。クックックッ」
「クックックッ」
凜と警視は二人で悪い笑みを浮かべました。
その様子を、牧野さんのお兄さんは訝しげに見つめていました。
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