第二部第二話Part14『難儀なギタリスト』

牧野:音楽スタジオ内 夜


牧野です。ただいまとくっぺが四方八方手を尽くして当日参加してくれるギタリストを探してくれています。

しかし・・・。


「どう? とくっぺ」

「駄目です。皆スケジュールが埋まってるらしくて」

「ああ、もう、どうしたらいいんだ~~」

「最悪、玉藻。お前がギターをやってベースは音源に入れよう」

「う~ん・・・もうそれしかないかな・・・」


犬伏:レインバス営業事務所内 朝


 犬伏です。なんだか今日は隣に座っている牧野さんの様子がおかしいです。

「牧野ちゃん」

「なんですか? 犬伏さん」

「きっと悩み事があるんだね」

「え、なっなぜそれを?」

「やっぱり。大丈夫。この犬伏真希様が解決してあげるよっ」

「犬伏さん・・・」


 あたしはカバンの中から便秘薬を取り出し、牧野さんに手渡しました。


「」

「これ飲むと、一杯出るよ。便秘は乙女の美容の天敵だからね。うふふ」

「あっ・・・ありがとうございます」


あれ、牧野さん、あんまり嬉しくなさそう。もしかしてまだ悩みがあるのかな。


東矢:レインバスビル6F ロッカールーム付近



 東矢だ。今日の仕事も無事終わった。久しぶりに外回りもなく一日中会社に缶詰だ。

 俺が歩いていると、牧野さんが浮かない表情で歩いているのを見かけた。


「よお、牧野さん。どうしたんだ」

「あっ東矢さん」

「何か悩み事でもあるの?」

「実は・・・ライブに参加してくれるギタリストだった子が腕を怪我してしまって・・・」

「そいつは大変だな。代わりは見つかったのかい?」

「それが、この年末時だから、どの人も忙しいらしくて・・・このままだとライブが出来なくなりそうなんです」

「なるほど。そいつは難儀だな。ギタリストか・・・」


 ん? 待てよ? ギタリスト。

 俺はマスターの上杉純夜君のことを思い出した。

 確か彼は音楽に明るくてギターを巧みに弾けたはず。


「おい牧野さん」

「なんですか」

「ギタリストなら俺に一人だけ心あたりがあるぜ」

「本当ですか??」

「ただ彼は難儀な奴だから、参加してもらえるかどうかは未知数だけどな。」

「かまいません、ぜひ紹介してください」


 俺は牧野さんの意思を受け入れ、彼女にマスターを紹介することにした。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る