第二部第二話Part15『おっぱい』

東矢:上杉のマンション前 夜


 東矢だ。今、牧野さんと網浜も一緒にマスターの家に向かっているところだ。

「そのマスターという人はどういう人なんですか?」

「18歳の高校留年引きこもりだよ。でも音楽に精通してて、ギターを弾けるんだ」

「そうですか、ねえアミリン。その人力になってくれるかな」

「う~ん。引きこもりってのがひっかかるけど、現状これが最後の伝だから、頑張って説得するしかないね」

「そうだね」

「マスターは意外とおデリケートざますから、気をつけろよ」

「は~い」


網浜:上杉のマンション 玄関前(夜)

 

 アミリンです。ヒガシさんがマスターの許可を経て上杉という子の部屋に入れることになりました。


網浜:上杉のマンション リビング(夜)


 アミリンです。室内は音楽を作る設備で一杯です。ここで録音も出来そうです。


「それで、今日は何の用。その二人の女性は誰?」

「彼女達は牧野さんと網浜って言うんだ。俺の知り合いだよ」

「初めまして、牧野玉藻です、ミュージシャン志望です」

「刑事の網浜凜です。凜のことは尊敬と慈愛の念を込めてアミリンって呼んでくださいね」

「僕の名前は上杉純夜。牧野さんはミュージシャン志望なの?」

「はい、そうです」

「実は今日ここに二人を連れてきたのは、マスターに頼みがあるからなんだ。」

「頼み? 僕に?」


 東矢さんがカウントZEROライブのことを上杉君に話しました。


「ふーん。そんなことやるんだ。」

「当日ギタリスト不在で困ってるんです。あなたがギターを弾けると聞いたのでここに来ました。

どうかお願いです。この私に力を貸してくださいっ」


「ふーん・・・」  


 上杉君がとてもいやらしい目つきで牧野さんを嘗め回すように見ています。


「ふーん、確かに僕は暇人だし、協力するのはやぶさかでは無いけど、条件があるよ」

「条件? なんです」

「キミのおっぱいをツンツンさせてほしい」


 上杉君は牧野さんを指差してそう言いました。


「なっなんだってーーー」

「おい、マスター突然何言ってんだ」


「手伝ってあげるんだ。それぐらいの報酬はあっても当然だろう?」

「わかった。いいよ、好きなだけツンツンさせてあげる」

「え」

「牧野さん、ちょっと待て」

「もう他に伝がないんです。おっぱい触らせるぐらいどうってことないですよ」

「タマちゃん、駄目だよ、駄目だって」

「じゃあ交渉決裂だね。さようなら」


 上杉君にケンモホロロに断られてしまいました。

 一体どうしよう。 

 何か彼の気持ちを変えるいい作戦は無いだろうか。

 凜は上杉君のリビングを見渡しました。

 するとそこには見覚えのある制服がかけられていたんです。


「その制服は、晴嵐の・・・」

「ああ、僕は晴嵐の生徒なんだ」


 晴嵐。蘭の通っている学校だ。これは妹に賭けるしかないかもしれない。

 あの子なら、蘭なら、この引きこもり相手でも上手くやってくれるはず。

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