第二部第二話Part11『パリピ志願』

上杉:上杉のマンション リビング(夜)



上杉です。大変な事になりました。今度僕がMMOでマスターをしているギルドで

オフ会をしようという話になったのです。

僕は年齢を詐称して皆と付き合っているから、行けません。

でも断るわけにも行かず、参加を承諾してしまいました。

どうしよう。このままでは僕のパリピライフが終わってしまいます。

一体どうすれば。。。


東矢:長畑の家321号室 リビング


東矢だ。今、スマホのMMOで遊んでいる。参加しているギルドでこの度オフ会をやることになった。

「あんたって、以前も言ったけど、本当にパリピよね。少しは恐怖心とか無いわけ?」


日下さんが呆れた様子で俺を見ている。


「恐怖心? そんなのあるわけないでしょ。みんな良い奴ばかりだしね」

「何でそう言い切れるの。ネットの世界なんて自分を偽ってなんぼでしょうが」

「まあ確かにそれも一理あるけど、俺は皆を信用しているから問題ないですよ」

「ふん、絆って奴? 馬鹿みたい」

「俺のことはほっといておくんなまし」

「ああいいわよ、勝手にしなさい」


日下さんを退けて、俺はメンバー達と当日の場所合わせで話が弾んでいた。

しかしどうしたことか、リーダーが一言も発言しない。

俺はマスターに直接話しかけてみることにした。


『マスター、どうしたんですか?』

『いや、別に?』

『当日会えるのが今から楽しみですよ、マスター』

『そのことなんだけど、実は、僕、行けないんだ』

『行けない? どうしてです?』

『サブマスターのキミには言っておかないといけないよね』

『何をです』

『実は僕、まだ未成年なんだ』

『なっなんだってーーー』


 信じられない。こんなに人間が出来ているマスターが俺より年下だなんて。


『一体どういうことですか?』

『更に言うけど、僕、今、高校生なんだけど、高校をお休みしてるんだ』

『なっなんだってーーーー』


 そいつはとんでもない話だ。一体俺がマスターに何かできることは無いだろうか?


『何か俺に出来ることは無いですか?』

『別に無いよ。とにかくそういうことだから、オフ会には行けない』

『そんな、マスターが来なかったら盛り上がらないですよ』

『でも行くわけには行かないんだ』

『よかったら俺と個人的に会いませんか?』

『キミと?』

『ええ、そうです。ファミレスで会いましょう。』

『二人だけで会うのはちょっと・・・』

『なら俺のダチも連れて行きますよ』


上杉:上杉のマンション リビング(夜)


 上杉です。困ったことになりました。

 サブマスターが僕と会いたがっているんです。

 ファミレスで彼が友達と一緒に会いたいそうです。

 一体どうしよう。

 でも、これは、自分の殻を破るチャンスかもしれない。

 でも遠出するのは怖い。

 ならば自分の自宅に彼を招待するのがいいかもしれない。

 引きこもりの僕だけど、心の中ではパリピに憧れているんです。

 露骨にパリピっぽいサブマスターにあえば、僕は変われるかも知れない。


『なら僕の家に来てくださいよ』

『家? 良いのかい?』

『ええ、どうせ一人だし、片付いた部屋ですから安心してください』

『いいよ、じゃあマスターの家に行きますよ』


 結局サブマスターとは僕の家で会うことで話はついた。

 一体どうなることやら・・・。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る