第二部第二話part2『カウントZEROライブ詳細!!』



日下:道玄坂 大通り(夕刻)




 どうも、安心と信頼と実績のS、日下です。

 どう? 第二部第一話のあたし、活躍したでしょ?


 これであたしの好感度も、SEXY↑↑よ。

 回を増す事に好感度が上がるキャラにしてくれって

 神様を恫喝、いえ、お願いしといたから、


 そんな感じでよろしくね。


 


 ってもう二話始まってるのね。随分早いじゃない。

 これはいよいよクライマックスってことね?


 


 分かってる。

 


 そのときはあたしも真面目に動くから。

 あたしこれでも主人公よ。

 


 さ、とりあえず今やっていることを話そうかしらね。


 


 今日は休日なんだけど、

 アホネンと一緒に道玄坂で買い物しているところよ。 

 アホネンにはあたしが買った物を全部持たせているわ。

 なんでこんなに物買うかなってぐらい買ってる。

 だって仕方ないじゃない。




「(歩きながら)喧嘩しちゃった」

「誰とですか?」

「職場の先輩と、仕事のやり方でね」

「それは大変ですねえ」

「あーー、もう会社行きたくないわーーーー」

「で、この私で憂さ晴らしですか~?」




「いいじゃない。どうせあんた暇なんでしょ。付き合ってよ」

「他に誘う相手がいるでしょう」



「いいのよ、あたしの怖さを思い知らせてやる」


「もう充分知ってると思いますけど」




「まず買い物してーー、映画観てー、買い物してー、映画観てー、

 よし、それから買い物しよう。どう、文句ないでしょ?」



「それはどこの国のサンドウィッチです?」

「焼肉食べて、よし、その後ついでにイチャイチャしようか」

「なっ・・・」

「何よあんた、素敵なプランでしょ? もっと喜びなさいよっ」

「イチャイチャはついでにするものじゃないでしょうっ

 第一私達は女同士ですよ」




「何それ。ただのコミュニケーションじゃない。

 あなたって、お堅いのねっ」




「そういう問題では・・・」



「最近イチャイチャしてなくてストレスが溜まってるわけっ

 もうあんたでいいから、今日は最後まで付き合いなさいよ」


 と、あたし達が通りを歩いているところに、前方から長畑君と真希が歩いてきました。


「あっ日下さん」

「げっルリ!?」

「あら、あなた達。家にいるんじゃなかったの?」

「それが犬伏の奴が映画に連れてけってうるさくて、一緒に映画を観てきたんですよ」

「そう。じゃあよかったらあたしのストレス解消にも付き合いなさいっ」


 あたしはビシッと二人を指差した。


「俺は別に構わないけど、犬伏は?」

「あたしは絶対嫌、ルリと一緒なんて、楽しい気分が台無しになるじゃない」

「まあ真希ったら言ってくれるわね。罰としてこのあたしに付き合いなさい。これは命令よっ」


 こうしてあたしは奴隷を二名ゲットしたわけなのです。


牧野:男装カフェレストラン ジュリエッタ スタッフルーム(夕刻)




皆さん、どうも、牧野です。



今、大変なんです。網浜蘭と今井大志が

ジュリエッタのスタッフルームで舌戦を繰り広げています。

蘭の後ろのホワイトボードには、

カウントZEROと書かれています。


アミリンはテーブルのパイプ椅子に座り、

お茶を飲んでまったりとしています。

一体どういうことでしょう。




  ホワイトボード

     蘭


  今井   牧野

       

        網浜   

  


「牧野玉藻、朝稲小弦、双方の遺恨を解消するには、

 単純な対バン形式のライブ対決では不可能と我々は判断しました。

 そこで、私が今回提案する対決方式が、

 (ホワイトボードをコツコツと拳で叩き)カウント

 (両手で小さくゼロを作る)ZEROです」




今井「カウント・・・ZERO」

網浜「(心配そうな表情で蘭を見つめる)」

牧野「(意味が分からないといった様子で首をかしげる)」


「それは一体、どういうものだ」




「互いに別々のライブハウスで、ライブを始めてもらいます。

 観客は無作為に用意した100人です。

 チケット代金は1万円とさせていただきます」



「高っ」


 私は思わず口に出してしまいました。


「観客はライブスタート直前に入場してもらい、

 音楽が気に入らなかった場合はライブ中に

 退席してよいことにします。

 お互いに披露する曲は4曲。1曲終わる毎に客に審議を仰ぎ、

 出て行ってもらうか、残ってもらうかを決めてもらいます。」




「ほう、なるほど。

 つまり一曲毎を1ウェーブとし、最終的に4ウェーブまでに残っていた観客の多いほうを勝利とするわけか。

 しかし、そんな緩い条件で、師走の多忙なこの時期に合計200人も集められるのか? 1万も払って」




「おっしゃるとおり。

 なので条件を3つ、こちらで用意しました。

 1つ目、事前に予約でお金を集金しないこと。

 2つ目、当日途中退席した場合はチケット代の返金。

 そして3つ目」




網浜「(息を飲み込む)」

今井「(クールな表情を崩さない)」 

牧野「(オロオロしている)」


「退席した方にはチケット代に相当する金額を手間賃として渡す。負担は敗者が行う」




「(立ち上がり)なんだってーーーーーーっ」


「タマちゃん、静かに」


「だってアミリン、それじゃ」




「この三つの条件を追加し、

 ライブ終了時点で会場に客が多く残っていた方の勝利とします」


「くっくっくっ・・・中々ユニークなアイデアだな。

 勝者もそれなりの痛手を負うことになるかもな。

 おまけに負けたほうは、恐らく借金生活だ」


「なんだとえーーーーーーっ」


「(牧野を無視し)以上がカウントZEROライブの詳細です。

 質問があれば受け付けます」




 今井大志が不敵な笑みを浮かべて立ち上がった。


「一つ聞いていいか?」

「どうぞ」




「人はどうやって集めるつもりだ。

 2組合わせて200人だぞ。

 今回俺たちは勝負を受ける側だ。

 何もしないが、それでいいんだよな?」




「(言いわけないだろうとトレイを持って歯軋りする牧野)」


「勿論です。」




「(仰天した様子で蘭を見る牧野)」



「あなた方の客、100名はこちらで用意致します。

 ただし舞台は3Uにしてください」


「いいだろう。で、そちらの舞台はどこなんだ?」


「(不敵な笑みを浮かべ)今、あなたがいる場所ですよ」


「なるほど・・・そういうことかい、お嬢さん。」



「(薄笑いを浮かべ)決戦は年明けの1月でよいですか」




「(うんうんとうなづく)」




「いや、早い方がいい」




牧野「(ぎょえーーーと叫び出しそうな顔)」



「では、年内ということですね」




牧野「(水を飲んで苦しそうに息を吐く)」




「12月20日の夜にしてくれないか。

 その日なら3Uの予定を少し空けることが出来るんだ」




 蘭ちゃんが私とアミリンを交互に見た。

 アミリンはうなづいている。

 私も渋々うなづきました。




「かしこまりました。

 では、2週間後の12月20日、夜。土曜日。

 カウントZEROライブと参りましょう」




「(悪い笑みを浮かべ)いい勝負をしよう」




 蘭ちゃんと今井さんがお互い悪い笑顔で握手しました。

 その後、今井さんは帰るのか・・・と思いきや、




「(テーブルに座り、週刊誌を読み始める)」


 何をしているんですか、あの人は!




「おいコラ今井大志、

 もう用は済んだだろっさっさと帰れっ」




「(コーヒーカップに口を付けつつ)

 3Uの店長としてジュリエッタの店長に

 挨拶がしたくてね。帰りを待たせてもらうことにするよ」




「こんにゃろめーーーい(トレイを振り上げる)」




「(牧野の腕を掴む蘭)落ち着いて下さい、牧野さん」




「あんたに言われたくないわっ

 只でさえ生活苦しいのに、

 負けたら私は借金生活になるんだぞっ

 こんな不条理があってたまるかっ」




「要するに客の気を引き続けて勝てばいいんですよ」

「簡単に言うなっ戦うのは私だぞっ」


「(悪い笑顔で)プロモーターはこの私、ですよ?」

「だから不安なんだよ」


「おやおや。この完璧な私が、何の勝算も無く、

 この作戦を用意したと思っておいでですか?」


「(顔に疑問符を浮かべる)何だと?」




網浜「(蘭の話を聞き、表情を曇らせる)」


今井「(話しを盗み聞きしているが、知らん顔)」




 一体、どうなるんだ、この私の青春は!!



次回に続く。 

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