第六話Part2『犬伏、MT免許を取りに行く』
犬伏:GAM会議室(夕刻)
犬伏です。ただ今室内で一人、車の免許を取るべく、机に色んな教習所のパンフレットを眺めています。
個人的にはバカンス気分で合宿教習所に行きたいのですが、そんな時間的余裕はありません。
あたしがパンフレットを見て唸っていると、狩川さんとルリが室内に入ってきました。
「へい真希ちゃん、何やってるの?」
「車の免許が必要になったので、取りに行こうと思ってパンフレットを見ているんです」
「あんたが免許を取るなんて、怖いわ~」
「もうルリはうるさいな~」
「行きたい教習所はもう決まった感じかい?」
「はい、黄昏ドライビングスクールっていうところにしようかと思って」
「ちょっとパンフレット見せて」
あたしは狩川さんに黄昏ドライビングスクールのパンフレットを渡しました。
すると、ルリが覗き込んで渋い表情をしたのです。
「あ~これやってるな」
「やってんな」
「ええ、どういう意味ですか?」
「いい、真希っち。教習所には公認教習所と非公認教習所の二種類があるわけ。」
「どう違うんですか?」
「簡単に言うと、非公認教習所は卒業しても技能試験を公安で別途受けないといけないの。
公安の試験は滅茶苦茶厳しいから、賢い人は非公認教習所は避けるってわけ」
「公認教習所は?」
「卒業した時点で技能試験を免除される。だから公安で学科試験を受けて受かれば免許証を発行してもらえるんだよ」
「えええ~そんな違いがあるんですか~~」
「そう、あたしは学生の時に公認教習所で免許を取ったよ」
「行くなら絶対公認教習所一択ね。あたしはそれを知らなくて泣きを見たわ」
「そうなの、ルリ」
「ええ、だから狩川さんの言うとおり、公認教習所に行きなさい」
「わかった。でも一体どこが公認で、どこが非公認か分からないよ」
「会社の近くに公認教習所があるよん。目の丸教習所ってところ」
「ホントですか」
「うん」
「よし、じゃあそこに行こう。狩川さん、ありがとうございます」
「いえいえ」
ようし、公認教習所で免許取るぞ~~!
「ところでMTかAT、どっちを取るつもり」
「MTです。なんか響きがカッコいいから」
「真希、あんたって本当に馬鹿ね。MT免許取得は大変よ。ATにしておきなさい」
「どう大変なの」
「クラッチ操作とか、色々あるんだよ。美咲ちがMT免許だけど、何度も挫折しそうになったって言ってた」
「ええ、指野さんMT免許なんですか、カッコいい!」
「あんたってホント人の話をちゃんと聞かない女よね」
「おじゃましま~す」
私達が話していると、牧野さんが室内に入ってきました。
「あ、牧野ちゃん。牧野ちゃん車の免許持ってる?」
「え、あ、はい。一応持ってますよ」
「AT?」
「いえ、MTです」
「カッコいい~~~~~~~!」
「え?」
「MTを乗りこなす女性ってカッコよくない?」
「そうですか。私は単に家の車がMTだからMT免許を取ることになっただけですけど」
「大変だった?」
「あ~~最初のクラッチ操作が難しくて、でもあとはスムーズでしたよ」
「ようし、決めた。あたしもMT免許取る!」
「勝手にしなさい。あとで泣いても知らないからね」
「楽しみだね、うひひ」
「あらみんな、集まってるのね」
指野さんが室内に入ってきました。
「指野さん! 指野さんはMT免許持ってるんですよね?」
「え? うん、持ってるけど、それがどうかした?」
「なんでMT免許を取ったんですか」
「え、だって、なんか響きが、カッコいいから・・・・、かしら」
「指野さん・・・・」
「美咲ちマジうけるわ」
やっぱり、出来る女を演出するにはMT免許を取るしかない。よ~し、頑張るぞ!
上杉:上杉の家 (夕刻)
上杉です。
今、僕はバイクの免許を取るための準備をしています。
あまり外には出ないけど、なんとなくカッコいいから、バイクに乗ってみたいんです。
教習所は目の丸教習所に決めました。
これから通い始めようと思います。
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