第4話Part3『名探偵の脳内推理』
網浜:休憩室(朝)
アミリンです。牧野さんがいつものバレッタをつけていませんでした。
いよいよ怪しいですね。長畑さんが持っているバレッタが牧野さんの物である可能性が高そうです。
でも長畑さんは妙なことを言ってました。
髪の長い女性だったと。
あの日の夜は月が綺麗に出ていたので見間違える可能性は低いです。
ということは長畑さんが嘘をついているか、あるいは本当に髪が長かったのかのどちらかになります。
長畑さんが嘘をつく理由は乏しいので、本当に髪が長かったと仮定しましょう。
一体何故牧野さんは髪の毛を長くしていたのか、謎です。
牧野さんは長畑さんが嫌いみたいなので、直ぐに逃げたのでしょう。
そしてそのときにバレッタを落としたと考えるのが自然です。
まあ彼女の髪が長かった理由は分かりませんが、髪を伸ばす方法ならエクステやかつらを使うなどいくらでも方法はあります。
とりあえず髪の毛の謎は置いといて、長畑さんからバレッタを回収する方法を考えましょう。
それにしても、牧野さんは音楽をやっているのでしょうか。なら何故秘密にしているのでしょう。
まあ牧野さんは職場に来て一週間の人間関係の人たちに私ミュージシャン志望ですと吹聴して回る人間ではないということです。
何か理由があって隠してるのかもしれません。その理由には深くふれずにいましょう。
そんなことより大変です。
自分の秘密を隠している牧野さんに嫌われている長畑さんがバレッタを返したら、血の雨が降るのではないでしょうか?
なんとしても長畑煉次朗からバレッタを回収しなくては。
「よう、網浜。そんなところで何やってるんだ」
来たー。長畑さんがやってきた! これはチャンス、チャンスですよ。
「あの、長畑さん。」
「なんだ?」
「あの、朝拾ったバレッタのことなんですけど、あれ落し物だから凜が回収したいんですけど」
「うーん、それもそうだな。本人にとっては大事な物かもしれないし」
やった、らくらくGET!
「なんて俺が言うと思ったか! 人様の物を拝借しようなんて卑しいぞ、刑事さん」
「えええ、違います。長畑さんは忙しいでしょうから、凜が代わりに交番に届けておこうと思いまして」
「俺がお昼にやるから大丈夫だ、心配すんな」
「その髪留め、牧野さんのかもしれないんです」
「何だって?? どうしてそう思うんだ」
「この目で見たからですよ」
「まっまさか、そんな」
「牧野さんは意外と秘密主義者です。ただでさえ嫌われている長畑さんからバレッタを返したら、どんな惨事が起こるか想像するだけでも恐ろしいですよ」
長畑さんが弱っている。今が畳み掛けるチャンス!
「ということで、ここは警察官の凜がバレッタをお返しします。凜からなら角が立たずに返せるでしょうから」
「そっそうだな。じゃあ頼むわ」
長畑さんはポケットに手をいれました。よし、今度こそゲット。
「あれ?」
「え?」
「ない」
「え」
「スーツのポケットに入れていたバレッタが無い」
「何ですってーーー!!」
「どこかで落としたのかも」
「ちょっと長畑さん、勘弁してくださいよーーーーっ」
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