第4話part1『朝からうるさい奴ら
牧野:洗足池公園 ベンチ付近(朝)
全国の皆さんおはようございます。牧野です。
第四話が始まったそうですが、私は今それどころじゃありません。
私が身につけているドクロのミニバレッタが無いんです。
きっとこの公園のどこかにあるはずなのに。
ベンチの下へ匍匐して潜り込んでみました。
ありません。
木に登って上から見てみました。
ありません。
ベンチ近くの公園の砂場の砂を出来る範囲で取り除いてみました。
ありません。
誰かが池の中に放り投げてしまったのかも。
ああ、こんなことなら水着を持ってくればよかったです。
やっぱりどこにもありません。
洗足池駅の人に落し物届けは出しました。
とりあえず近くの交番にも届けに行こうと思います。
気分を紛らわすために頭から滑り台を滑ってみました。
ずざざ~~~。
周りの人が私を見ないように避けて通っています。
きっと私のことを頭のおかしい女だと思っているに違いありません。
でも、私は今、真剣なんです!!!
本当に、とても大切なものだから!!
おっと、服が汚れている。パンパン。
とにかく本当に大切なものだから、
お母さんが私のために作ってくれた、世界に一つだけの宝物!!
失くした・・・・・の・・・・??
私、失くしてしまったの。
なんて、本当に、私は馬鹿でドジな女なんだろう!!
ない。
ない。
ない。ない。
ない。ない。ない。
・・・・・・。
うわあああああああああああああああああああああああああん!!!
長畑:社宅 384号室 長畑の部屋 (朝)
うわあああああああああああああああああああああああ!!!
長畑だ!!
また嫌な夢を見てしまった。
甲子園で失敗したあの日の夢だ。。。
犬伏:321号室 リビング (朝)
犬伏です。
今日はとてもいい天気。
昨日は網浜凜、アミリンと一緒の部屋で寝ました。
今日はアミリンが、朝ご飯を作ってくれるそうです。
いやあ、ご飯を作れるって素敵じゃないですか!!
東矢君はソファーで横になってニュースを見ています。
そうだ、新聞を取りに行こう。
「うわああああああああああああああああああ」
またですか。
「煉ちゃんのお目覚めだぜ」
「もういい加減にしてほしいよね。何なのあの人。
たまにちょっとおかしいよね」
「首をきゅっとやりたい衝動にかられるわね」
「どうしたんですか!? 事件ですか!」
「ううん。何でもないよ。いつものことだから」
「あいつホントうるさいわ。」
あっれん坊がリビングにやってきた。死んだ魚のような目をしている。
「おはよ。朝からうるさいんですけど」
「申し訳ない」
「何かあったんですかあ?」
「何でもない」
「・・・・うぉい!」
おっと。東矢君が体を起こしましたよ。
どうやらテレビに出てる女性アナウンサーに反応したみたい。
「いやあ~~~せのっぺ可愛いわ~~これは惚れるな~~」
せのっぺだって。馬鹿みたい。
「せのっぺって誰ですか」
「あん? なんだお前知らないのか、ホントに世間に疎いな。」
「え~~~なんか凜が駄目な人みたいな言い方><
そんなに有名なんですか」
「妹尾だっけ。ただのスポーツニュース読みの人じゃない。」
「おいおい真希ちゃん。せのっぺは俺達と同じ年だぜ。
もっと愛をもって接してやれよ~。
密かに人気のある女子アナランキング1位なんだぜ」
「どうでもいいの。それどこのランキングですか?!」
「俺の脳内(満面の笑顔)」
あたし、東矢君のこういうとこ、凄い嫌いだわ。
ホント男って馬鹿みたい。
「妹尾さんって、可愛いですね」
「ほう。お前にも良い物がわかるんだな。意外だぜ」
「人を節穴みたいに言わないでくださいよ!」
「へへんだ」
れん坊はソファーに座ってボーっとしている。
なんか元気なさそう。
「どうしたの!? なんか急にテンション下がってない」
「いや、別に・・・」
「? そう。じゃああたし新聞取ってくる!!!」
「朝から活字は見たくないな~~
でも持ってきてくれたら読むかもな。うんうん。」
東矢君がなんか言ってるけど、気にしない。
犬伏:社宅 321号室 玄関前 (朝)
よっと。新聞ゲット。
ん?
・・・・?
靴棚の上に置いてあるのは、小さいバレッタ?
あたしはそのバレッタを手にとって眺めてみたわけです。
ドクロ・・・なんか見たことあるなあ。
これ・・・どっかで・・・
(職場での牧野玉藻の顔を思い出す)
あっ・・・これ、牧野さんが付けていた物じゃないの??
初めて会った時から付けてたし、印象に残ってる。
でも、同じ物かな? だとしたら、なんでここに?
ちょっと・・・怖いんだけど・・・。まさか・・・東矢君!! 私達が寝てる間に牧野さんを手込めに!?
ようし! 面白いからそういうことにしてやろう!!!
網浜:社宅 321号室 キッチン (朝)
おはようございます。網浜です>_<
朝から弄られてもう大変です。
料理を作ってる最中だというのに、
長畑さんが騒ぐし;;
犬伏さんはなんかカリカリしてるし;;
東矢さんは妹尾さんというアナウンサーに夢中だし、日下さんは我関せずだし。
本当にこの四人は、一言で言うと、変な人たちです!!
ここだけの話にしてくださいね ね ね@_@??
常識人を売りにする凜的にはもう朝からうるさいし、ちょっと事件です。
「真希ちゃ~~~ん。まだ~~~お兄さん早く読みたいな~~~」
犬伏さん、まだ持ってこないみたいですね。
ふう、ここは凜が様子を見に行くべきでしょう。
網浜:社宅 321号室 玄関前 (朝)
やってきましたアミリンです。そんなに移動してないですけど。
犬伏さんは何かをじっと見ています。
「どうしたんですか? 犬伏さん」
「あっアミリン。ちょっとこれ見てよ」
犬伏さんが右手を差し出してきました。
掌の中には、・・・バレッタ?
あれ?これ見たことある。
というか、間違いない。それは牧野ちゃんのやつだ。
凜、知ってます。いつも牧野ちゃんが付けてるやつだ。
以前、屋上で牧野さんにあったとき、太陽光に晒されて
バレッタのドクロが輝いてましたから!!
このドクロの付いたバレッタは、間違いなく牧野ちゃんのです。
・・・でも、なんでここに??
「それ、牧野さんが付けているやつですよ」
「やっぱり!! アミリンもそう思った?!」
「だって、凜は毎日見てましたから」
「ふむ・・・。で、なんでここにあるのかな」
「・・・さあ」
「も~~。新聞まだ~。開国しちゃうぞ、コラ~~~」
あっ、東矢さんが来ました。
犬伏さんが凜の方を見て、ちょっといたずらっぽい目をしています。
犬伏さんって、ホント子供ですね。
「ねえ、東矢君。これ(バレッタを見せて満面の笑み)」
「ん? なんだその髪留め。
(牧野さんと会ったときのことを思い出す)
あっそれ、牧野さんが付けてた奴じゃん。
なんで真希ちゃんが持ってるわけ」
「玄関に置いてあったんですけど」
「ふ~ん。なんで」
「東矢君。昨日、あたし達が寝てる間に、
牧野さんに会ってちょっかい出してきたんでしょ(笑)」
「はっはああ?!」
「もうそれ以外考えられないんだもん!!」
「戦利品ですね」
「どういう意味だよ」
「そういう意味よ!」
「意味わかんねぇし」
「もう言わせないでくださいよ、この歩くLoveマシーン」
「誰がLoveマシーンだ! 俺はそんなことはしていない。
牧野さんなんて、俺、ついこの間会った娘だぞ!
そんな時間はないだろうが」
「さあ、どうだか。昨日あたし達、あの後すぐに寝ちゃったもんね。
その後牧野さんを理由つけて連れこんだんじゃないの!?」
「酷い、凜達がいるのに」
「言いがかりも大概にしろ! 連絡先も知らんっちゅーに」
東矢さん、すごい顔して動揺してる。顔芸すごい。
イケメンなのに、ちょっと残念な人。
「おい。朝からうるさいぞ、お前ら!!」
「・・・」
あ、長畑さん。
・・・・そういえば、昨日長畑さん、
ちょっと夜風に当たるとか言って
1時間ぐらい帰ってこなかったなあ。
まあ、この人はやり手じゃなさそうだし、
第一牧野さん、多分長畑さん嫌ってると思うし、
この二人が実は繋がってるとかいうことは、
絶対にありえないですけど・・・・。
・・・・あれ? さっきまで無邪気に笑ってた犬伏さんの表情がシリアスに。
顔から笑顔が消えたんですけど、どういうことですか。
「あ」
「む?」
「ん」
「・・・長畑君? これ、どういうことかしら(ドスのきいた声)」
「へ?」
「へ? じゃないの」
「・・・オホン。話せば悪いようにはしないよ、キミ」
あ、東矢さんがイジられ対象から逃れようとしてる。
長畑さんを疑ってるんだ。
「長畑さん、これについて何かしってますか」
「? 何の話か知らないが、それは俺が昨日拾ったもんだ」
うわあ直球だ><。
この人、すごい凄い直球でぶっこんでくる~~><。
朝から事件の匂いがプンプンしてきた!!
「マジで? どこで」
「公園で」
「これ、牧野玉藻さんが付けているものと同じものなんですけど」
うわあ犬伏さんも直球だ><。
この2人、すごい凄い直球でぶっこんでくる~~><。
朝から事件の匂いがプンプンプンプンしてきた(´・ω・`)
「ふ~ん」
「ふ~んって。
れん坊ってホント、奥手な振りして大胆! だよねっ」
言い方><
犬伏さん、怖い><
怖いよ犬伏さん><
「どういう意味だよ、それ」
「あたし達には牧野さんは危ない人間とか言っておいて、
自分は牧野さんと公園で遊んでたんでしょう!!」
犬伏さん、さっきの東矢さんのときの対応と全然違う。
露骨に嫉妬心的なものをあらわにしてる。
冗談っぽさがないんですけど(-"-;A。
多分、本人も無自覚なんだと思いますけど。
それが逆に怖いんですけど>-<
「俺が、彼女と? 遊ぶ?? 馬鹿言うな、俺の命が持たない」
「じゃあなんで牧野さんのバレッタを、公園で拾ってきたのよ。」
「牧野さんのバレッタ? 単に公園で落ちていたものを拾っただけだ。
彼女のものとは・・・(何かを思い出した顔)」
「どうしたの」
「いや、違う。(髪の長さも声も違ったし、彼女とは別人。)」
「あぁん?」
「それを拾ったのは間違いなく俺だが、牧野さんのではない。
単なる乙女の落し物だ。返せ(犬伏から奪い取る)」
「(乙女?)」
「あっ!!」
「へん。なんでい。また真希ちゃんの勘違いかい」
東矢さん、もう茶番は終わりかっていう感が満載の顔してるΣ(・ω・ノ)ノ!
「・・・。ホント、朝から騒々しい人ですね犬伏さん」
「ええ! あたしぃ?」
・・・・犬伏さんごめんなさい(_ _。)
「全く、お前はもう少し考えてから物事をしゃべれよな」
「朝から気分悪いぜ」
「振り回された凜、馬鹿みたい」
「ちょっと、アミリンだって牧野さんのだと思ったでしょ」
はい。
それは間違いなく牧野さんのものです\(^_^)/
でも長畑さんの否定の仕方には不自然さがありませんでした。
もしかしたら、何か隠しているのかもしれませんが、
単純に牧野さんが持っている物と全く同じ物かもしれないし。
凜的には凄く興味深い話ではありますが・・・。
もうお腹も空いたし、ご飯作らなきゃだし。
「・・・凜の勘違いかも(テヘ)」
という感じで済ませておくことにします。
「えええええええええええ。」
「もう、犬伏うるさい!! 遅刻するから、さっさとこっち来い」
「目玉焼き焼きますよ」
「目玉焼きだと! 俺は黄身が無理なんだ!!
スクランブルにしてくれよ」
「・・・まったく東矢さんも、うるさい人ですね」
「なぬ! この・・・網浜のクセに!!」
「ぐむむ・・・」
・・・犬伏さん、ごめんなさい。
この事件、ちょっと突くとめんどくさそうなので・・・
火消しさせていただきました。
長畑さんは、確かに言った。
乙女と。
あのバレッタは間違いなく牧野ちゃんのもの。
でも長畑さんのの口ぶりだと偶然会ったっぽい。
あのバレッタは、後で凜が長畑さんから上手く回収して、
牧野さんに渡してみようと思います
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