第3話part14『東北ベーブルース』

牧野:洗足池公園 ベンチ (夜)


 

 牧野です。

上京する私にお兄ちゃんが送ってくれた歌、『東北ベーブルース』を歌っています。



台詞


「まずは秋田! 秋田といえば俺達の地元 


 能代 能代を歌っちゃおうぜ」



 能代はいいとこ 意外と飯美味い


 能代はいいとこ バスケばかりじゃない




 みんなに知らせたいぜ 能代の魅力を



台詞




 「まずは! まずは能代がはぐくんだ!


 俺の身近な人間達を簡単に紹介していこうず」




 俺の妹 バンドやってる 意外と天然泣き虫空手2段


 俺の友達 3人は歯抜け でもとても良い奴 金には汚い



 俺の親父 腕のいい板前 釣りが好きすぎ 




 能代は俺達が育った街さ 海も綺麗だ 大事な場所だ


 お寿司屋たまもに行こうぜ 

 能代は意外と魚が美味いぜ



 能代はいいとこ 意外と都会だぜ


 能代はいいとこ 田伏だけじゃない




 

 市街地巡回バス『はまなす号』は


 能代を廻って楽しませてくれるぜ


 

台詞


 「次は仙台だ 仙台を歌おうぜ」


 


 仙台にやってきた ベーブルースやってきた


 なんで 能代に 能代に来なかった(憎しみを込めて)



台詞


 「別に、だいぶ昔のことだから、うらんでないけど、


 でもちょっとぐらい、


 ちょっとぐらい秋田に寄ってくれてもいいじゃない、


 もうっベーブルースの ベーブルースの・・・バカ///」


 仙台いいとこ 牛タン美味いぜ


 毒味も不要だ たらふく食おうぜ



 台詞


 「次は福島~福島だぜええええ」



 俺の友達の親父 福島在住 


 

 東京通勤 片道3時間


 働き者だぜ 日本の野郎は 


 お前らいい加減 休むことを知れ




 

 俺の友達 めちゃいい友達 


 地元の名物買ってきてくれる


 台詞


 「おいこれなんだよ」


 「ままどーる、まま! どーるだ」


 「美味いのか、これ」


 「当たり前だ 福島土産はままどーる! ままどーるは鉄板なんだ!!! さあ食え、たんと食え!!」


 「あっありがとう、いただくわ・・あっ美味い」


  「美味いだろう!!実はまだまだ沢山買ってきた!! 買ってきたから死ぬほど食え!死ぬほど食って、俺達の未来のために!!もっともっと金を落としやがれっ」



犬伏:社宅 321号室 (夜)


 犬伏です。

 これから乾杯の音頭を取ります。

 明日も仕事なので、酒は控えめにレッドアイにしておきます。 

「ちょっと遅くなっちゃったけど、今日一日お疲れっした。

明日行けば休みなんで! 何とか乗り切って行こうぜ」

 「よっしゃあカンパーイ」

 「乾杯!」

 「乾杯!」

 「乾杯っ」


 


牧野:洗足池公園 ベンチ (夜)



 牧野です。


 台詞に力を入れすぎて喉が痛くなってきました。


 

 まだ もう一度秋田編・青森編・山形編・宮城編があるんですが、全て歌うと20分は軽く超えるので、私は能代・岩手・福島を前編、もう一度秋田編・青森編・山形編・宮城編を後編と分けて歌っています。


 パフォーマンスラップ担当のジョーさんがすごく台詞の部分を歌いたがっていました。正直長いです。お兄ちゃん、気合入りすぎです。


 

 でもせっかくお兄ちゃんが、東京に行く私のためにと、死ぬほど時間をかけて作ってくれた歌なので・・・。


 

 とりあえずフルコーラスで歌ってます。


 

 私は凄く気に入っていて歌っていると楽しいのですが、長すぎてこれを一曲歌いきるだけで大分疲労するのが難点です・・・他のカバー曲を歌おう。



犬伏:社宅 321号室 (夜)


 犬伏です。

 あたしの作った唐揚げを、みんなが美味しそうに食べています。

 「真希ちゃん、うめえ、これ美味いよ」

 「正直舐めてた」

 「でしょ? 鳥肉は宗教の垣根を超えて、全人類が食べられるソウルミートなの!! 唐揚げは世界を救うんだよ!!」


 決まった! このあたしの名言。立ち上がって言ったかいがあるってわけです。あたしが死んだら世界名言大全集に登録されることでしょう。


 ・・・・。


 あれ? みんなの反応が薄い。 というか、食べてばっかり。


 「ねえ! ちょっと聞いた? 今のあたしの名言を!?」

 「この味付けはご飯に合うな」

 「酒が進むわね」

 「全然油っぽくない。あっさりしてますねえ」

 「もう! みんなしてあたしを無視しないでよっ」

 「いやいや、真希ちゃん。これ美味しいけどさ、ソウルミートっていうのはちょっとね」

 「お前は唐揚げの何なんだ」

 ぐぬぬ・・・。

 あたしはテーブルに座って唐揚げをほおばった。

 「うむ! 美味い! やっぱりあたしの作った唐揚げにはソウルが満ち溢れてるわね」

 「はいはい。ソウルミートソウルミート」

 「宗教の垣根越えるなんて。唐揚げって、偉いね」

 「もう! ルリも東矢君も、二人してあたしを馬鹿にして!! ひどいよアミリン」

 あたしは網浜ちゃんに抱きついた。アミリンはあたしをいい子いい子してくれる。

 「犬伏さん。これ本当に美味しいですよ。ソウル感じます」

 「ホント? 世界平和とか起こせちゃう?」

 「もちろんですよ! 鶏肉って偉大ですね」

 「そうでしょ! 世の中には宗教的理由で、牛肉や豚肉を食べられない人がいるのよ。そんな人たちだって鶏肉は食べることができる!! 唐揚げって偉大でしょ」

 「別にイノシシだって食えるでしょ」

 「ワニだって、その気になれば食えるだろ」

 「どっちも唐揚げには向かない肉じゃんか!」

 「そうですよ。」

 「でもこの唐揚げは美味いぞ」

 「売れるな」

 「ホント!? 唐揚げ真希ちゃんっていう店、地元に作ろうかな」

 「ああ、いいんじゃない(どうでも)」

 「タルタルもっと作ればよかったわね」

 ぐすん・・・。

 「犬伏さん、凜は唐揚げこそ世界を救うと信じてますよ」

 「ありがとう、アミリン(抱き付く)」 

 「けっオベッカ野郎め。取り入ろうと必死だね」

 「そんなことないよ。アミリンは心から言ってくれてるもん。あたしにはわかる」

 「そうですよ。それにあたしは自分ではロビンマスクだと思ってるんで」

 「自分を過大評価しすぎだろ。せいぜいケンダマン止まりだよ」

 「マニアックすぎてよくわからないんだが」

 「ケンダマンなら悪くないですね。2000万パワーズを懲らしめますよ」

 「むっそうか。じゃあティーカップマン程度に位置付けしておいてやる」

 「それだけは絶対に嫌です!!」


 ・・・・。


 「ねえ、一体何の話?」

 「さあ・・・キン肉マンかな。東矢はキン肉マン2世好きだからな」

 「真希ももう一応先輩なんだから、長畑君がいないときは牧野さんをビシバシしごかないと駄目よ。」 

 「そんなこと言われても。あたし人に注意とか、ホントできないし。牧野ちゃんに何かあっても、あたし何も言えないと思う」

 「牧野?」

 「(ビクッ)」

 あれ? 東矢君。もしかして牧野ちゃんを覚えていないのかな。

 「今日のお昼に一緒に食べた娘だよ。あたしが面倒みてる子」

 「ああ、あの空気凍らせたお向かいさんねえ~。はいはい、あのときの煉ちゃんの顔、傑作だったよな。ねえ煉ちゃ」

 「・・・(体を震わせている)」

あらやだ。あたしったら、もしかして、地雷ふんじゃったかしら。どうしよう、ここは可愛く謝っておこうかしら。 


牧野:洗足池公園 ベンチ(夜)


牧野です。

歌っている途中にくしゃみが・・・。

やっぱり今日はちょっと寒いです。 




 ん?




 ジャージ姿の女の子が、立ち止まって私の歌を聴いてくれていたようです。ジョギング中だったのでしょうか? 耳にはスポーツイヤホンをつけてます。

月明かりの下ですが、とても可愛い娘だというのはわかります。

年は、私とそんなに変わらないかも。

 「大丈夫ですか」

 女の子は私にティッシュを差し出してくれました。

 「あっありがとうございます」

 女の子はニコニコと笑顔を浮かべ、鼻をかむ私を見ています。 

 なんかちょっと恥ずかしい・・・。

 「やっぱり、歌も凄く上手いですね」

 「そっそうですか。初めて会った人にいきなり褒められるなんて、

嬉しいです。ありがとうございます」

「初めましてじゃないですよ。

ジュリエッタでも見て、感動したんです」

「ほへ?」

「あの、私、ススガさんのファンです。握手して下さい!!」

女の子は、手を差し出してきました。

 私は言われるがままに握手をしました。自分のファンだと言ってくれた人と会い、握手したのは東京にきて、初めてです。


 ・・・嬉しい・・・・。


握手後、女の子は丁寧に一礼して走っていきました。


 ・・・? あれ?


そういえば、彼女、今、私のことをススガさんって・・・。

なんでその名前を知ってるんだろう?まさか、ジュリエッタ時代のお客さんかな?

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