第3話Part10『地獄の門番』

牧野:レインバス社宅 夕刻


 牧野です。走る日下さんにつられて私も走ってしまいました。

 気が付けばもう社宅前です。アミリンも走ってきたみたいです。

 「あら、足速いのね、もう追いつくなんて」

 「はあ、はあ、久しぶりに走ったからわき腹が痛くなってきました。」

 「あっはっは、運動不足よ、そんなんじゃあ今度の運動会で酷い目にあうわよ」

 「うっ運動会?」


網浜:レインバス社宅384号室前 夕刻 


 網浜です。

 牧野さんが日下さんに捕まりました。

 エレベーターを使わず階段で家までダッシュさせられたのです。

 凜も付き合って階段でちょっとしたレースをしました。

 1位は勿論このあたし、アミリンです。

 2位は日下さん、最下位は牧野さんでした。


日下:レインバス社宅384号室前 夕刻


  日下よ。ようやく今、我が家に着いたとこ。それにしても網浜は足速いわ。

 流石刑事さんってところね、負けたわ。

 牧野さんはゼイゼイ言いながらあたし達に一礼すると、自分の部屋に入っていったわ。

 さてと、あたしも家に入ろうかしら。

 まだ誰も帰ってきてないと思うので、あたしは鍵を取り出した。

 とっ突然ドアが開き、網浜の頭にクリーンヒットした。

 「いったあああああああいっ」

 「おう、刑事さんか。大丈夫か、生きてるか? 死んでないか?」

 「大丈夫、生きてるわよ。というかいきなりドア開けんじゃないわよ」

 「お前らギャーギャーうるせいよ、他の住人の迷惑になるだろうが」

 「刑事さん大丈夫? 痛い? どんな風に痛い? シクシク痛い? ズキズキ痛い?」

 「ず・・・ズキズキ痛いです」

 「大変、治療しないと死んじゃう」

 「なーに、唾付けとけば治るって。」 

 「あんた、死なせるわよっ」

 「おーこわ、刑事さん助けて~」

 「東矢さんを傷害容疑の現行犯で逮捕しますよ」

 「おーこわ、これだから刑事さんは苦手だよ」

 「あたし的には早く病院へ行ったほうがいいと思うわよ。頭の怪我って後で意外とポックリいっちゃうことがあるからね」

「物騒なこと言わないで下さい、ああもう、最低。」

 「DV男に天誅を下しましょう」

  東矢は察したのか亀のように素早く室内へ逃げ込んだ。

 「待ちなさい。もう絶対許さないからねっ」



 こうして一日はあっという間に過ぎていくわけ。




 

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