第3話part5『追跡牧野さん』

長畑:海岸通り コンビニ付近(夕刻)


行きたくない。ここから先に進みたくない。

今、俺の目の前を牧野玉藻が歩いている。

幸い電話に夢中で俺の存在には気が付いてないようだ。

まさかコンビ二から飛び出してくるとは予想だにしなかった。

本当に人生って奴は何が起こるかわからないもんだね。


どうやら電話は終わったようだな、一体誰と話してたんだ。


ちょっと気になるぜ。


とりあえず、俺は牧野さんとは間隔を空けて歩くことにした。

避けてるみたいで情けないけど、二人きりは気まずいもんな。


ん? 牧野さんがまたスマホを取り出したぞ。


牧野:海岸通り コンビニ付近(夕刻)


網浜さん、今日は長畑さんの社宅で夜会をやるそうです。

私も来ないかと誘われましたが断りました。



ん? また電話だ。


スマホの液晶画面には三下と書かれています。

ああ、お兄ちゃんか。


一体何の用だろう。


「もしもし、何の用」

「ようたまちん米足りてるかと思ってさ」

「米なら足りてるよ、というか私パン派なんですけど」

「そういえばそうだったな、ギャハハ」

「用事はそれだけ」

「ああそれだけだようかん」

「・・・もうくたばってほしい、切るねサヨナラ」

「ちょっとまて。待て待てまてい」

「・・・何? まだ何か用なの??」

「くたばってほしいとか言うな、お前は」

「だって本当にムカつくんだもん」

「たまも、お前は口が悪い。それに短気は良くないぞ」

「あんったがくっだらない笑えないこと言うから怒るんでしょうが! この三下」

「三下っていうな、おかめブス」


おかめブス・・・だ・・・とぉ・・・!!?


私はカッとなって電話を切りました。

しかし直ぐに三下からかかってきました。


「話は終わってないのに勝手に切るな」

「たまの中では終わったのー!! もうかけてこないで!!」


私は何気なく後ろを振り返りました。するとそこには見覚えのある人の面影が・・・。


長畑:海岸通り コンビニ付近(夕刻) 



長畑だ。あっあわわわ・・・聞いてはいけないものを聞いてしまった。

あのテンション。恐らく喧嘩かな? 相手は・・・彼氏かな?

まあ、あれだけ可愛ければ男が放っておかないだろう。

そうだよな、そりゃあそうだよな。

何故だろう。ちょっと消沈している俺がいる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る