第3話part4『クラッシュ交差点』
牧野:レインバス本社ビル 1Fエントランス
牧野です。今日はいつもより大変な一日でした。でも無事に終わってよかったです。ロビーは帰りの社員さんや他の会社の人で一杯です。これから家に帰ってご飯を食べてちょっとだけゴロゴロして、その後は外でベースを弾こうと思います。
実は、今ちょっとお尻が痛いんです。
さっき会社で事故にあって、お尻を痛めてしまいました。あざが出来てるかも・・・。
あっ犬伏さんがいる。私の方が先に退社したはずだけど・・・。でもカバンとか持ってないから降りてきただけかも。一緒にいる女の人は誰だろう。何だか凄い小さな人。しかも金髪。
あっあの人は以前美咲ちゃんにセクハラした狩川さんだ。
犬伏さんって結構背が高いから、余計際立つ。
ちなみに私の身長は160cmです。
犬伏さんは私よりも確実に5cmは高いと思う。
長畑:レインバス本社ビル 1Fエントランス
牧野玉藻。秋田県出身。
9月初旬に営業アシスタントとして紹介予定で派遣されてきた。
色白で前髪の長いショートカットが特徴の可愛い娘だ。
そんな彼女と、今日はちょっとだけ話せた。
俺の同僚、犬伏真希が、ゲストと称して彼女をランチ会に呼んだおかげだが。
でも何を話したのか、もう覚えていない。
道中も、食事中も、心ここにあらず状態だった。
なんて考えながら歩いていたら、犬伏が受付の前で若い女性と話をしているのを発見。 今日は俺達の家で夜会だが、アイツも仕事を早めに切り上げて途中参加するそうだ。タフな奴だな。
というか言い出しっぺはアイツのはず。全く・・・。
「犬伏!」
「(ギョッとして振り返る)れ・・れん坊っ」
「お疲れ。できるだけ早く帰ってこいよな」
「うっうん。じゃあね(手を振る)」
それにしても狩川さん、相変わらずえらい小さいな。しかも金髪で。
牧野:海岸通り コンビニ付近 夕刻
まだ五時過ぎなのに、空はもう真っ黒。といっても街灯があるので外は明るいし、
結構遠くの人が歩いている姿も見えますね。9月も初旬になると、日が落ちるのが早いです。季節は残暑真っ只中だし、もうすぐ秋だし。
秋田から東京に出てきて、もう半年になるのかあ。一年ってホント早いなあ。おっとコンビニ発見。コンビニがあるとつい入りたくなります。私の家はコンビニまで車で30分でしたから。
子供の頃、食料の買い出しはいつも遠くの大型スーパーまで車で行き、1週間分まとめ買いが基本でした。私が8歳の時に父が『寿司屋玉藻』をオープンしてからは、
あまりの食材や賄いなどがあるため買出しの頻度は減りました。
でもコンビニだけは別です。学校の帰りは兄貴と入り浸り、仕事帰りは車でコンビニに寄るのが楽しみでした。
東京は凄いです。徒歩でコンビニに行けるんですよ!無駄に入って何も買わずに出ると、自分が都会に住んでるんだって実感するんですよぉ。
では、さっそく・・・。
長畑:海岸通り 夕刻
長畑だ。今日のランチは最悪だった。あんなに居心地の悪い昼飯は初めてだ。やっぱり飯は食べたい人と食べるのが一番良い。社会人になるとそうも行っていられなくなるが、せめてお昼ぐらいは羽を休めたいもんだ。
今日、一つ明らかになったことは、俺は牧野玉藻!・・・さんに嫌われている?ということ。ランチ会のことを思い出そうとしたら頭が痛くなってきた。
これはあれか、思い出したら死ぬパターンか?
ん? どんなパターンだ、それ?
自分で自分のボケにツッコむなんて、疲れてるのかなあ俺。
おぼろげながら記憶にはある。
確か、俺は全力で存在を否定された。
切ない。
9月なのに、俺の心はすでに厳冬。そのせいか、帰りは階段を使って1階に降りるけど、今日はエレベーターを使ってしまったし。
錘のついた亀の甲羅を背負って歩いてる気がするよ。
今日という一日を、早く酒で忘れてしまいたい。
あれ? 俺こんなに弱音を吐くキャラだったけ?
何だかしばらくぶりに喋ってる気がするから、
自分で自分のキャラがよくわからない・・。
とりあえず気持ちを切り替えよう。今日は、久しぶりにハメを外そうかな。
牧野:コンビニ内 雑誌コーナー近辺
コンビニコスメの品揃えは馬鹿にならないですね。でも今日のところは特に買う必要はないでしょう。雑誌コーナーは相変わらず人が多いです。
むほっ!! そういえば今日は週間少年ガッタスの発売日だった。私は男性達の間に立って立ち読みを始めました。
ふむふむ・・・。
なるほど・・・・・・。
!!??
そんな!! まさか・・・!
げっ・・・
こんないいところで!
また次回なんて・・・酷い・・・。
ううう・・・続きが気になる。
しかも次回は未定とか・・・ただでさえ不定期連載なのに、この作者、本当にちゃんと仕事してほしいですよ!!
ん? 着信が・・・誰だろう。
あっ網浜さんだ。
網浜凛。確か刑事さんの女の子。凄いおしゃべりで、とにかく面白い。
最近私がお昼に屋上でご飯を食べてたときに話かけてくれて。
それ以来更に仲良くなりました。
私はあまり人には心を開かないタイプなのですが、
何だか彼女とはやっていけそうな気がします。
ちなみに今日は非番だったらしく、お休みでした。
「もしもし」
「×××(聴こえない)」
「もしもーーし」
あれ? 電波が悪いのかな?
ちょっと外にでようかな。
長畑:海岸通り コンビニ付近 夕刻
牧野玉藻か・・・。正直彼女が何を考えているのかよくわからない。 俺の中ではとてもミステリアスな存在だ。最近ちょっとした頭痛の種になっているが、そんな彼女が少々気になってもいる。
くっそう。。切り替えようと思っているのに考えてしまう。彼女と普通に話せるようになる日はやって来るんだろうか。疲れてる。俺はきっと疲れてるんだ。俺にとって牧野玉藻との人間関係との悩みなんて、ただの朝定食。たわいもない出来事さ。今すぐ彼女が俺の目の前に出てきたって、そつなく無難にやり過ごす自信はあるぜ?
俺の人生経験値を舐めるなよって言いたいね!
「(コンビニから出てくる) あっもしもし。聴こえる?」
って・・・・
デターーーーーーー!!
キターーーーーーーー!!
マ キ ノ タ マ モ ガ・・・・
アラワレターーーーーーーーーーーー!!!
ワーーーーーーーーー!!
ギャーーーーーーーーー!!
イッタイドウナッテンダコレーーーーー!!
コワイーーーーーーーーーーー!!
コワイーーーーーーーー!!
ヤバイヨコレヤバイヨコレ!!
ヨバイヤヨバイヤ!
ヨバイヨ! ヨバイヨ!
コレダメダッテ コレ!
ダメダッテ コレ レコテッダメダッテ!
モウイッキニアタマガスパークシタゾーー!
ノウナイヘンカンガ!!
ウマクイカナイゾーー!!
アタマノナカノIMEガバカ二ナッテルゾー!!
simejiーーーsimejiーーーーシメジ二キリカエローーー!!
ゲンゴチュウスウヲヤラレタゾーーー!!
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