第3話part3『名探偵の妹はえちえちっぷりも完璧(後編)』

網浜蘭:私立晴嵐学園高等学校 校舎裏 焼却炉付近 放課後  

 

 蘭です、とりあえず校舎の外に駆け足で出てきました。

 夢乃はすでに息を切らしています。

 「まったくあなたは体力がないですね」

 「ごめんなさい、先輩。だって先輩、足が速すぎて」

 「そんな話はどうでもいいから探しましょう」

 私と夢乃は周辺の茂みを漁り始めました。

 ニャアという泣き声が上の方から聞こえました。

 「あ、先輩、カムカム」

 夢乃が指を指したのは一際高い樹木の頂上付近、そこにカムカムはいました。

 「まずい。登りすぎて下りられなくなったんですね」

 「どうしよう、消防署に連絡しますか?」

 「いいえ、私が上って捕まえます」

 「そんな、無茶です」

 「カムカムは私とおじいちゃんにしか慣れてないんです。消防隊員が来ても苦労するだけでしょう」

 私は靴を脱ぎ、木を登り始めました。

 「うわーー」

 「どうしました?」

 「蘭先輩、パンツ見えそう」

 「見せてるんですよ!」

 全くどうでもいいことを叫ぶなんて。

 私は順調に上っていき、カムカムの所までやってくると、無事に彼女を確保しました。

 「これでよし、後は下りるだけ」

 下の方はいつの間にかオーディエンスが増えています。私のパンツが丸見えなので、

 男子生徒達が覗いているようです。

 「見せもんじゃないですよ! しっしっ」

 私は叫びながらカムカムを抱えつつ樹木を下りていきました。

 「凄い、流石蘭様。お尻フリフリで超えちえちでした」

 「ふん、乙女のサンクチュアリを容易く覗くもんじゃありませんよ。さてと、理事長室に戻りますか」

 私と夢乃はオーディエンスをかき分けて理事長室へ向かい、カムカムを祖父に返しました。



網浜蘭:私立晴嵐学園高等学校 理事長室 放課後 


 「おお、カムカム、可愛い子」

 「これで任務完了ですね。もう不用意に窓を開けっぱなしにしないようにしてよ」

 「分かった分かった」

 「やった、蘭様、大活躍ですね」

 「そんなことより教室に戻らないと。次の仕事の依頼者が待ってるかもしれません」

 「そうだ、蘭様にお礼があります」

 「お礼」

 夢乃はなんとススガタマのブロマイドを差し出してきました。

 「どうです。イケメンでしょ? イヒヒ」

 「イヒヒ」

 私は夢乃の見てる前でススガタマの生写真を握りつぶしました。

 「きゃああああああああ」

 「こんなもの、必要ないですよ」

 おのれ、ススガタマ。いつか会ったら、ぶっとばす。

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