第2話part8『彼女はシロ』

網浜:警視庁捜査一課 室内 昼


 アミリンです。小野木佳代の事件について、残念なお知らせがあります。

 有力な犯人候補と目されていた朝稲小弦が事件には関わっていないことが明らかになりました。

 そもそも彼女が捜査線上に浮上したのは、小野木佳代が死んだと思われる当日に血の付いたナイフを所持して

 六本木を歩いているところを警察に逮捕されたからです。

 その後書類送検されましたが、どうやらその血は朝稲小弦本人の物で、彼女は自傷行為をしていたのです。

 それに決定的なアリバイも見つかりました。彼女はその日、男装喫茶ジュリエッタで勤めていたのです。


 事件は振り出しに戻ってしまいました。

 有力な目撃者もいないこの事件、このままだと迷宮入りになりそうです。

 なんとか突破口がほしい。

 そうだ、レインバスに行こう。


犬伏:営業部オフィスルーム内(昼)


 犬伏です。今日のランチ会は賑やかになりそうです。

 そもそもあたしがこの企画を催すきっかけになったのは、

 牧野さんと長畑煉次朗の不仲がきっかけです。

 牧野さんが入社当日に長畑煉次朗に名前を何度も間違えられ、ブチ切れたのです。

 あたしはその現場を直接見ていませんが、アホネンの話によれば、

 かなりの剣幕だったようです。

 社内に人間関係の軋轢が生じると色々と仕事がやりづらくなります。

 そこであたしが一肌脱ぐことにしたわけです。 


 牧野さんはすでにオフィスにいません。化粧室に行ったのです。

 それにしてはちょっと長め。お化粧直しをしているのかな。


牧野:化粧室 (昼)

 

 牧野です。ただ今鏡の前で化粧直し中です。

 せっかくゴチになるんだから、顔を綺麗にしておかないと。

 「ヘイ、玉藻」

 「あ、アホネンさん」

 「化粧直しですか、いいですね。」

 「あ、あの、アホネンさんもランチ会にいらっしゃるんですよね。今日はよろしくお願いします」

 「オッケーオッケー、私も奢られる立場ですから」

 「え、じゃあ誰が奢ってくれるんですか」

 「それは私も分かりません。でもきっと懐の暖かい人に決まってまーすよ」 

 そうですか、一体誰なんだろう。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る