第2話part3『名探偵の妹はご学友っぷりも完璧』



網浜蘭:私立晴嵐学園高等学校 2-A組 昼


 蘭です。私は料理が得意で自分のお弁当とお姉ちゃんのお弁当を毎朝作っています。

 本日はサンドイッチに鶏のから揚げ、卵焼き、タコさんウィンナーに切干大根、ひじきの煮物です。

 女子高生はお腹が空きます。やっぱりこれぐらいは食べないと体が持ちません。

 久原流は呼んでもないのに私の前の席に座って一緒に弁当を食べています。

 「一体なぜあなたは毎日私とお昼を一緒に食べるのです」

 「何でって、友達だからだよ」

 「私はあなたをビジネスパートナーとして評価していますが、友達だと思ったことはありませんけど」

 「つれないこと言うなよ。一緒に食べようぜ」

 「(ため息)」

 「それに今日から崎山徳子も学校に戻ってきたしな」

 私達の会話が崎山徳子の話題になると、彼女がお弁当を持って近づいてきました。

 「あっあの、蘭様、久原様、おっお昼ご一緒してもよろしいでしょうか」

 「当たり前だよ、そこの机に座りな。やっぱりご飯はみんなで食べた方が美味しいもんな」

 「まあ、否定はしませんがね」

 崎山さんは嬉しそうに隣の机から椅子を持ち出し、私の机に並べ、お弁当を広げました。

 「ほお、これは中々美味しそうですね」

 エビフライにポテトサラダ、卵焼きにミニトマトにご飯というのが崎山さんのお弁当でした。

 「へえ、美味そうだな。とくっぺの母さんは料理上手だな」 

 「とっとくっぺ?」

 「そう、お前のあだ名。蘭も異論はないだろ」

 「まあ、いいでしょう。それより早く食べないと午後から数学マンとねむねむ星人のタッグに襲われますよ」

 「おっと、いけねえ」

  久原は弁当をかきこみ始めました。

 「皆さんと一緒にお昼をいただけて、嬉しいです」

 「ふん、まあご学友ですから、当然のことをしているまでですよ」

 「ところで蘭さんのお弁当豪華ですね」

 「自作ですよ」

 「えええ、蘭さんって、料理上手なんですね」

 「当然です。このぐらいは朝飯前です」

 「いいな、俺なんて母さんメシマズだからさ」

  たしかに久原の弁当のおかずはこんにゃく、糸こんにゃくしか入っていません。

 「少し私の弁当からおかずを分けてあげてもよいですよ」

 「ホント、サンキュー蘭」

 久原は嬉しそうにから揚げを取り、むさぼるように食べました。

 健康的な食事は栄養の観点からも大事です。

 「なあ蘭、俺の弁当も作ってきてくれない」

 「なぜ私があなたの弁当を」

 「いいじゃん、お金払うから」

 「金? 盗んだお金じゃなくて」

 「自分のお小遣いだよ」

 「それは素晴らしいアイデアですわね」

 「とくっぺはどうします、弁当」

 「いいんですか?」

 「ええ、但し綺麗なお金でお願いしますよ」

 「はいっ」

  まったく、久原は直ぐに調子に乗るから嫌いですよ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る