第1話Part14『ライバル登場』




牧野:男装カフェ ジュリエッタ店内ドレスルーム 昼


 牧野です。今日はバイト初日です。さっそく店長に言われるがままに男装をしています。

 店長がドレスルームに入ってきました。

 「あら、牧野さん。カッコいい。素敵よ。やはり私の見込んだ通りね」

 「そうですか?」 

 「そうよ」

 店長の後にもう一人、男装をした女性が入ってきました。それはカッコいい女の子でした。

 「店長、この子が新人?」

 「そうなのよ、小弦ちゃん。彼女に色々教えてあげて欲しいの」

 「なんで私が新人の面倒を? 他の人にしてください」

 なんだか険悪なムードが流れています。

 結局新人研修は店長直々に行ってもらいました。


牧野:男装カフェ ジュリエッタ店内


 「今日から皆さんと一緒に働く牧野玉藻さんです。」

 「牧野です。よろしくお願いします」

 10名前後のキャストたちの前で私は自己紹介しました。

 「そうだ、牧野さんにはまだ源氏名がないのよね」

 「源氏名?」

 「そう、お母さんの旧姓は」

 「煤賀です」

 「煤賀・・・珍しいわね。じゃあ源氏名はススガタマにしましょう」

 「えええ」

 いきなり源氏名が決まってしまいました。私がオロオロしていると、先ほど小弦と呼ばれていた女性が

 私に近づいてきました。

 「言っとくけど、私たちの足を引っ張らないようにしてね」

 「あっはっはい」

 なんなのこの人、嫌な感じ。彼女の名前は朝稲小弦あさいなこいと

 我衆院清輔という源氏名で活動している、ジュリエッタの一番人気のキャストさんです。 

 「そうそう、さっそく生写真を売りに出すから、写真を撮りましょう、牧野さん」

 私は言われるがままに顎に手の甲を当てるポーズをとって写真を撮られました。

 こんなものが売り物になるのかなあ。

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