第1話Part13『牧野玉藻、拉致られる』
牧野:六本木
牧野です。私は今、森羅さんを探して六本木に来ています。
六本木も東京の中心地という事もあってか昼でも人ごみは激しいです。
ふと歩いていると、右腕を捕まれました。
「え」
「あなた」
私が降り返ると、そこには切羽詰った表情をした女性が立っていました。
「やっと見つけた。もう手放さない」
「あの、私に何か御用ですか?」
「いいからちょっとこっち来て」
私はぐいぐい引っ張られ、なすがままにその女性についていってしまいました。
牧野:男装喫茶ジュリエッタ 店内
私が連れ去られたその先は、男装の女の子達が接客する飲食店でした。
「ごめんなさいね、強引に来て貰って」
「いいえ、じゃあ私は帰ります」
「帰らないで、話を聞いて。あなただけが頼りなの」
「何を言ってるんですか、意味がわかりません」
「あなた、ここでバイトする、それが運命」
「なぜ急に片言?」
話を聞いてみると、経営が厳しいらしく、
客を呼べるようなキャストの発掘が急務と考えた店長さんが私に白羽の矢を立てたようです。
「私が男装するんですか」
「そう、そして接客したり、ダンスしたりするの」
「そんな恥ずかしいこと、できませんよ」
「大丈夫、優しく教えるから。
「そんなこと言われても」
「それにあなた芸能人目指してるんでしょ。ここから芸能人になっていった人が何人もいるのよ。
芸能関係者も来るし、ここには色んな情報が集まってくる」
「色んな情報・・・」
「そう。あなたにとっては働く価値のある場所よ、やってみない」
「う~ん。ちょっと考えさせてください」
「そう、じゃあ決まりね。早速明日からよろしく」
「あの、考えさせて欲しいと言ったんですが」
なんか強引な人だなあ。
牧野:指野のマンション401号室内 リビング
「それでバイトすることになったの?」
「うん。週2,3日程度ね」
「なんだか不安ね。大丈夫かしら」
「わかんない。でもやってみるよ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます