第51話 その幼女〇〇につき取扱注意
第51話 その幼女○○につき取扱注意
サーシャ・ルービックと呼ばれた小さな女の子は、かわいらしい大きな目をして耳が横に大きく伸びている。その女の子は、奥からちょこちょこと歩いてきて、ちょこんとギルド受付のテーブルの上に乗った。
そして、ぺったんこな胸をぐっと張りながら
「私がギルドマスターのサーシャ・ルービックである!」
と、威張って言うもんだからまじまじと見てしまった。
「じろじろ見るでないわぁ!わらわはこう見えても300歳を超えるハイエルフなのじゃ!」
怒った言葉ではあるが、声もかわいいため威厳がない・・・。しかし、話が進まないので取りあえず謝っておく。
ギルド長は、受付の職員に事情を確認してから、双子と鑑定結果を見比べている。そして、ため息を一つ吐くと
「この子たちは、二人とも冒険者登録してかまわんじゃろ。ちゃんと見張りもついているようじゃしな。」
流石に見て目ではわからないぐらいの経験を積んでいるようで、双子が魔王族であるが、何らかの拘束魔法で危険がない事も瞬時に見破っているようであった。ユウキは、ほっと胸をなでおろした。
しかし、次のギルド長の言葉でまた災難に見舞われることになった。
「この双子はいいとして、双子を拘束できるほどの魔力を持ったその者は、人間の姿をしているがまさか魔王本人ではあるまいな・・・?」
ギルド長サーシャ・ルービックの可愛くも鋭い声で、周囲の冒険者やギルド職員のお姉さん達も慌てふためく。
「まあ、水晶に手を置いてみればわかるじゃろう。さっさと置くがよい。」
遠巻きに、ギルドの職員のお姉さんや冒険者に囲まれながら(一部の冒険者は剣を抜いたり臨戦態勢になっているが・・・)言われたとおりに水晶に手を置く。
「なぁぁぁ!!??」
水晶に手を置いた瞬間に、サーシャ・ルービックをはじめ、その場にいたすべての人々が言葉にならない声を上げる。
水晶は、七色の光を放ち、しばらくすると中心に向かって渦を巻きながら七色の球体が浮かんでいる。ユウキは、これが何かわからずギルド長に
「これってどういうことなんでしょうか?この子たちの時みたいに黒くはならなかったのですが・・・?」
水晶の反応は、初めて見るため双子のような反応になるものだと思っていたが、少し正気を取り戻したサーシャ・ルービックは、後ろにきれいに三つ編みされた長い髪の毛を整えながら
「その双子たちは、黒魔法と固有スキルのせいであの反応だったのじゃが・・・。そなたのそれは、判断は明日まで待ってもらえんじゃろうか・・・。こんなに色々起こると頭が痛くなってわ。」
ギルド長から、ユウキの冒険者の登録を待つように言われ、双子の登録証のみ受け取り宿屋へ帰り明日出直すことにした。
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