第50話 ギルド長 サーシャ・ルービック
第50話 ギルド長 サーシャ・ルービック
ギルドの中に入ったユウキたちを待っていたのは、たくさんのテーブルにパーティーごとに座った冒険者、壁に張り巡らされた依頼書に目を通している冒険者、何が原因か分からないケンカをしている冒険者、などなどいろいろな冒険者たちが集まっている。
冒険者の波をかき分けながらカウンターににたどり着く。カウンターには担当ごとに可愛かったりきれいな職員さんたちが冒険者の相手をしている。
「両替はどこの受付でするんですか?」
ふわふわのお姉さんに聞くと、ユウキの手を引いてカウンターの端に連れていく。そこにあったのは、生前よく見た事のある・・・これは・・・ATM・・・?が置いてあった。さすがに預かりはこれではできない様子で(まあ、硬貨しかない世界だからパンクするわな)両替だけできるようであった。それはそれで凄いが、魔法で動いているんだとお姉さんが説明してくれた。
その、全自動両替機で2枚の金貨を両替すると袋が満杯になってしまった。袋を小分けして、双子にも持たせることにした。後の小銭は【空間魔法】で、収納することにした。
両替が済み、とうとうギルドへの登録の番になった。ギルドの登録の場所は、カウンターのど真ん中にあった。大きな水晶が3か所置いてあり、それぞれに経験豊富そうなギルド職員のお姉さんが座っていた。
ふわふわのお姉さんは、そこまで案内すると「じゃあねぇ~。いつでもふわふわもらいに来てねぇ~。」と笑顔で帰っていった。
正直、見知った人がいなくなるのはいろんな意味で不安であったが引き留めるわけにもいかず、ユウキは、ユキとフユから登録してもらうことにした。
カウンターの前に行くと、真面目そうなギルド職員のお姉さんが
「初めての登録はこちら、ランクアップは両サイドでお願いします。」
と、案内してくれる。初回登録であることに少し驚いた様子であったが、水晶を目の前に押し出し「これに手を置いてね。」と双子に示した。双子は、本当に気があっているのか幾度かおなじタイミングで水晶に手を置いては、話すを漫才のように繰り返してから
「じゃぁ~。お姉ちゃんからでいいよぉ~。」
と、フユがユキに初めてを譲った。「わかった~。」と、ユキが水晶にぺちっと手を置く。
すると、水晶は真っ黒に染まっていく。その中に一筋の赤い光が走ってから丸い球体を作る。
ギルドのお姉さんは、真面目な顔から一気に目を丸くして「あわあわ・・・」と驚いている。
そんな様子をしり目に次はフユが水晶に手を置く。
すると水晶は、ユキの時と同じように真っ黒に染まっていき、その中に青い光が走ってから丸い球体を作る。
対応してくれていたお姉さんの両隣のギルドのお姉さんも、真面目な顔から一気に目を丸くして「あわあわ・・・」と驚いている。
『・・・うん、これはやっぱりまずいことになるかも・・・』
そう思っていると、カウンターの奥の扉がバタン!と大きな音が鳴り一人の女性が入ってくる。
「「「ギルド長 サーシャ・ルービック様ぁ~」」」
3人のギルド職員のお姉さんが普段は出さないであろう、情けない声でその女性に助けを求めていた・・・。
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