第48話 ふわふわのお姉さん


 第48話 ふわふわのお姉さん


 ひと騒動が終わり街もいつもの日常を取り戻していた。

 ユウキは、宿屋に帰りユキとフユの選んだ衣装に一喜一憂した後、まだ奴隷気分でいる双子を連れ日常を味わってもらう意味と、ユウキ自身も散策したい気持ちもあり一緒に街なかに出かけることにした。



「「わ~~!!すごいです!人も、お店も、すごく多くて大きい!!」」


 双子は、今までもお使いで街を歩くことはあったが、お使いの内容のお店へ直行し、目当ての物のみを早く購入して帰宅するため町や人、売っている商品などじっくりと見た事が無かった。


「何でも見て回っていいよ。君たちはもう自由なんだから。僕は縛らないよ。」


 ユウキは、二人に【隷属魔法】をかけるときに約束した(魔法の解除は必ずする)ことを、この子たちには絶対に守ろうと決めていた。しかし、双子は洋服や宿屋でのもてなしに今まで生きてきた中で一番の充実感を得ており、そのためユウキの知らないところで【隷属魔法】は強固な結びつきになっていたがそれはまたのお話。


「「ねえねえ、ユウキ様。このふわふわしたものは何ですかぁ~??」」


 双子は、あるお店の前に立ち止まって、目をキラキラさせ店員さんが作る不思議なものに見とれていた。


《にょにょんのふわふわファクトリー》


 双子の目に留まったお店の看板に書かれているものを見ても、よくわからないお店であったがふわっと香るにおいが綿あめのそれであり、カラフルな色のふわふわは綿あめであろうと思った。しかし、前世で見た機械もなく、空中でどんどんふわふわが丸くなり色もカラフルになっていく。

 双子の顔の2倍ほどの大きさになったころ、店員のお姉さんが双子に差し出す。


「ひとつ、2銅だよ。2ブロンズ!買っていくかい?甘くておいしいよっ!」


 双子の目は、そのふわふわの球体から離れずおねえさんは2個目も作り出しているため、2個とも購入することにした。しかし、財布の中には一番小さくて金貨しかなくそれで払おうとすると、おつりが流石にないとお姉さんが困ってしまった。


 何か他の物を買って、崩すしかないかと思い一通り見渡すが繁華街の屋台でそんなに高いものは売っておらず、半年間ふわうわ食べ放題でお姉さんに手を打ってもらうことにした。それでも、かなりの収益であった様子で、お姉さんは満面の笑みを浮かべ「今日は店じまいだ!」と言いながら店を片付け始めた。


「大金が入ったけど金貨のままじゃ、ご飯も食べれないからギルドに両替に行くけど一緒に行くかい?」


 お姉さんが、ナイスな提案をしてくれる。ギルドの登録もしてみたかったし(条件を知りたかった)自分のお金も換金しておきたかった。あと、例の報奨金も、ギルドで支払われるとのことであったためちょうどいいからと、お姉さんについていくことにした。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る