第45話 宿屋での姉妹
バァァーーーン!!
カルロス君の屋敷のほうから乾いた銃声が聞こえた。
第45話 宿屋での姉妹
銃声を聞きユウキは【絶対物理防御】を展開したが・・・
「がはっ・・・いってぇ・・・。」
肩口から大量の血を吹き出しながら
カルロス君は、膝をついた。
猟銃を構えていたのは、カルロス君の父親であるハーネス卿であった。
ハーネス卿は、悲しそうな、泣きそうな、憐れむような、蔑むような、
なんと言っていいか分からない表情で立ち尽くしていた。
「カルロスよ。刑に服せ。」
【拡声魔法】は王宮まで届いていたようで、
すでに王宮警備隊の精鋭部隊がハーネス卿の屋敷を取り囲んでいた。
肩から血を流しながら、カルロスは王宮警備隊に連行されていった。
「名も知らぬ者よ。そなたが来なければ、このようなことにはならなかった。
憎くもある。しかし、愚息があのようなことをしていたなど到底許されることではない。」
「しかるべき刑罰が下るであろう・・・。礼は言わんが、わが屋敷を破壊したことは不問とする。」
ハーネス卿の、貴族としての意地でもあったのだろう。それだけを言い残して屋敷の中に消えていった。
想定外の出来事になってしまった(本当は、【拡声魔法】で悪事を暴き捕まえてもらうだけのつもり)が、これはこれで良しとしようと自分に言い聞かせながら双子のいる宿屋へと向かった。
~ユウキがハーネス卿屋敷についた頃~
「うわぁぁ~~!!おねぃちゃん!!こんなご飯食べた事ない!!」
「そうだねっ!フユっ!感謝していただこうねっ!!」
宿屋についた双子はまず、風呂よりも空腹を満たすことにした。ユウキから、袋の中にあるお金は全部使っていいからと言われており服も着替えるようにと言われていた。
しかし、幼いころから奴隷生活を強いられてきた双子は、お金の使い方も価値もわからないため宿屋のおかみさんに袋ごと渡してユウキに言われたことを伝えた。
ユウキ自身も、勉強はしていたがお金を実際に一人で使う事が無く王都に来て買い食いをしたぐらいであり、二人に全財産の小袋を渡していた。
「ちょっと・・・本当に全部使っちまっていいのかい??」
小袋の中を数えた、宿屋のおかみさんは目を丸くさせながら訪ね、双子がうなづくと料理長に指示を出し外へ出て行ってしまった。
テーブルの上に次々に、高級な料理が運ばれてくる。それにかぶりついて、ほとんど平らげ準備された風呂に二人で入っていた。
「うわぁぁ~~!!ひろーーーい!!石鹸も頭を洗うのもあるよぉ!!!」
フユが、初めて見る大浴場に興奮していた。ユキは、まず体を洗おうねとフユを座らせごしごし洗ってあげると、こそばゆいのか体をくねらせながら逃げてしまった。
フユも、ユキも年齢は14歳であるが、十分な栄養を与えられていなかったせいか体型的には10歳ぐらいで幼児体型であった。
風呂から上がると、宿屋のおかみさんが下着を準備してくれてあった。ボロボロの布の服は、捨てられていた。
部屋を準備してあるからと3階の一室に通された。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます