第44話 哀れな貴族は拡声魔法に負ける


 第44話 哀れな貴族は拡声魔法に負ける


 双子の姉妹を【隷属魔法】で変態貴族の魔の手から救ったユウキ。

 しかし、奴隷紋は取り除いたが、変態貴族にお仕置きをしておかないとどこかで見つかれば、またひどい目に合わされてしまうかもと思ったユウキは単身乗り込むことにした。


「とりあえず、ユキとフユの二人は宿屋に行って、お風呂にでも入っておいで。」


 二人にお金の入った小袋を渡し、宿屋まで連れていき宿屋のおかみに食事と風呂を準備してもらうよう伝え変態貴族の屋敷へと向かった。


「さて、どんな手で懲らしめてやろうか。」


 ユウキは、ありとあらゆる拷問を思い浮かべ変態貴族が二人に近寄らなくなる方法を考えていた。


「やっぱりあれかな・・・。」


 考えた末、それに決めて貴族の家の門の前に来た。

 門番に門を開けるよう伝えるが、もちろん開けてくれない。

 ユウキは、仕方なく【爆裂魔法】を門に向けて放った。


〝DOOOOOOOGOOOOONNNNNNN!!!"


 軽く放ったつもりの【爆裂魔法】は、門はおろか玄関先まで50mほど庭のすべてを吹き飛ばしてしまった。


「しまった・・・。またやりすぎた・・・。」


 やりすぎた感はあるものの、今回は腹が立っていることもあり反省はしていなかった。

 大きなクレーターが開いてしまった庭を移動しながら、ユウキは次の魔法を考えていた。


 先ず、【拡声魔法】でここからの話の内容を王都中に流す。


 次に、カルロスだけを引きずりだし自分がチンピラや奴隷にしたことを耳打ちした。

 もちろん激怒したカルロス君は、汚い言葉で僕を罵倒しながら何か魔法を唱えてきた。

 多分、攻撃魔法だったと思う。

 直ぐに【魔法解除】でカルロス君の魔法を止め

 【魔力吸収】でカルロス君の魔力を全部吸い取る。

 本人は、何をされているのか分からない様子で魔法を頑張って放とうとする。


「クソ平民の分際でっ!貴族様に・・・このカルロス・ハーネス様の奴隷を凌辱する楽しみを奪いやがってっ!!!」

「殺してやるっ!!平民なんぞ貴族特権で今まで何人もぶち殺してきたんだっ!!!」

「女も攫って、犯して今まで何人も殺して捨ててきたっ!!この俺様を怒らせると貴様もあの小娘たちも殺して今までの連中と同じように裏山に埋めてやるっ!!!」

「覚悟しやがれっ!クソ平民めっ!!!」


 苛立ちのまま、とんでもないことを言い放つカルロス君であった。

 もちろん【拡声魔法】で、全王都中にこの内容は聞こえている。

 そして、カルロス君の父親にも・・・。


 バァァーーーン!!


 カルロス君の屋敷のほうから乾いた銃声が聞こえた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る