第9話 覚醒

「スパラ家の御子息。

【ユウキ•ア•スパラ】様。

 2歳のお誕生日おめでとうございま〜す♪」


 秋葉原くらいでしか見たことのなかった、メイド姿のかわいい女性達が声を揃えて言ってくれる。多分、俺に向かって…。



 第9話 覚醒


 豪華なシャンデリア、数メートルはある大きなテーブル、執事の格好をした初老の紳士、キリッとした表情の女性と同じ格好をした合計8人のメイド達。


 数メートル先の向かい側に座っているのは、目の下にクマを作っている痩せた男性(多分この世界での父親)。

 俺の隣にいるほんわかと笑っている、きょにゅ…豊満な胸をお持ちのかわいい顔の小さな女性(多分この世界での母親)。


 なるほど、意識がはっきりしてから自分の手を見てビックリはしたが太ももをつまんで痛かったところを見ると多分これは現実と理解した。


 そして、数分考え出た結論が先ほどのこと。


『まあ、転生ってやつだろうな。』


『ユウキ…名前だけは前のままだったからいいか…苗字にあたる部分については…深く考えないことにしよう…。』


『さっき、2歳と言ってたから…やはり2歳なんだろう。』

 元々の性格なのか、昔から何が起きてもどうにかなってきた経験からか諦めが早かった。


 転生モノの定番としては、何らかのスキルとか圧倒的な能力とか持っていて世界を救うとかが多いが…。


 今は、全く何の能力があるのか分からない。

 まだ、2歳だし開花していないのかもしれないな。


 色々と考えていたら目の前に次々に豪華な料理が運ばれてくる。

 元々、置いてあった食事だけでも2歳児には多いと言うか、まだ母乳でもいい時期なんじゃないかと思うが…。

 豚の丸焼きのようなものから鳥の丸焼き、山盛りの焼き飯、大盛りのサラダ、スープも鍋ごとなど、どんどん運ばれてくる…。


『こんなに食べれないが、この世界でのお祝いはこんなものなのか…?』


 そう思っていると、メイド達の先頭にいたメイド長と呼ばれている女性が心配そうに


「今日の食事は、おぼっちゃまのお口に会いませんでしょうか?コック長が腕によりをかけて作ったのですが…。」


 と、言うため慌てて目の前の鳥の丸焼きを小さく切り分け口に入れる。


『おっ。うまいじゃないか!鳥の味は変わらないんだな…。』


 全ての食事が美味しく、食べたことのない食材もあり飽きずに食べることができた。


 そう、飽きずに全ての食事を…。


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