第5話 転生スキル

 美女は、女神だった…らしい。



『じゃあ、何で失恋したんだ!!

 何で、死んだことになってここにいるんだ!?』


 僕の問いかけに対して、女神カーラは少し悲しそうに微笑んでいる。微笑みでごまかそうとしている。


 僕は、だんだんイライラしてきて、

『いやいや、答えて貰えませんかね?

 マジで!』


 すると、女神カーラはとても言いにくそうに

「死んでしまったのは・・・

 ちょっとしたです・・・。

 本当は、時間操作で転移だけしていただく予定でしたが・・・。

 ・・・・・・・・・。

 ・・・ごめんなさい。」


「彼女については・・・追々説明させてください。」


 と、話をしてとうとう泣き出してしまった・・・。


 ミスかぁ・・・。

 あり得そうな答えだったけど、まともに聞くと怒る気にもならないんだな。

 思ったよりも冷静な自分がそこにいた。

 まあ、死んでしまったのはどうしようもないし、そう言えば転生した世界を救ってほしいとか言ってたけど・・・?


 ユウキは、女性が目の前で泣いている、泣かせてしまった事を少し後悔し

『分かった。

 もう泣かないでいいから、話進めてくれる?』

 と、やさしく声をかける。


 すると、女神カーラは泣いてたのが嘘のようにパッと笑顔になり

「そうなんです!!!

 私の管理しているもう一つの世界が、大変な結果を迎えそうになってて、このままでは崩壊してしまいそうなのです。」


 ユウキは、その話を聞いても自分に何ができるのかもわからない。

『そんなとこに行って何かすることがあるのか?』


 疑問をそのまま聞いてみる。


 すると、女神カーラは、

「今の状態からでは何もできないと思いますが、少し時間を戻してやり直せばどうにかなると思っているのです。

 しかし、私は直接世界に降りることができないため、代行者としてユウキさんにお願いしようとしていたのです。」


 なるほどと思い、

『で、間違えて死なせてしまったわけか・・・。』


 女神カーラは、また泣きそうな表情になり

「ごめんなさい・・・。」

 と言って、黙ってしまった。


 ユウキは、ちょっとこの女神面倒だなと思いながらも、大丈夫だからとなだめて話を続けてもらう。


 女神はまた笑顔に戻り、話を続けてくれる。

「・・・と言うわけで、

 世界を救ってもらうために、ユウキさんに転生スキルとゲームで培われた経験、スキル、装備をそのままに転移ではなく転生してもらう事にしました。」


 ゲームの能力だったらかなりすごくなるなとユウキは思いながら聞いている。

「転生スキルとしては、【一度だけの死に戻り】【賢者】【魔力最大】【MP自動回復強】をお付けします。」


「ユウキさんが以前されていたゲームのキャラは、ゴリゴリの前衛職でしたので魔法も使えるように配慮しましたが、魔法自体は初期値ですので努力して覚えていただきたいです。」


 さらに、女神カーラは続けてうれしいことを言い出す。

「お伝えするのを忘れていましたが、転生していただく世界は、剣と魔法とドラゴンや魔族が入り混じってしまった世界です。」


 まあ、何となく途中で気づいていたけど・・・


 めちゃくちゃ楽しそうな世界じゃないか!


 何その俺向きな世界!




  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る