井上 良太 (20) ②
「『股関節の運動を観察します、お礼もありますので連絡ください』だってよ、やったじゃん、これ行こうかな」俺も佐々もお礼という言葉に大変興味を持ち、紙の下に書いてある研究室の連絡先を確認した。
「股関節ってことは、まてよ、木村先生?」俺は先生と仲良くなるタイプではないのでうろ覚えであるが、佐々は違う。「股関節といえばキムラッチだな、さ!連絡、連絡!」ノリノリでスマホを構えていたが、紙に書かれていた日付を見て佐々はがっかりした。
「これ、火曜じゃん!俺毎週バイト入れてるよー、行けないじゃんか」ちぇー
という顔をした。だがしかし「俺は、行けるな」そうだ、俺はバイト火曜は外していた。お金に困っていた僕は佐々が居ようが居まいが、お礼目当てに行くぞと決心した、そう俺は金がない!スマホを取り出し、書かれていた連絡先にメールを送信した。
「お礼、俺にも分けろよー」佐々がヘラヘラしながら言ってくる。「ぜったいやらん、さ、自習室行くぞ」こうして自習室へ行き、俺たちは課題を済ませた。
「はー、つっかれたなあー!」佐々は大きな伸びをした。お前はいつも声がでかいよな。時間を確認するためにスマホの画面に目をやると、メールがきていることに気がついた。
「『よろしければ研究室におりますので、顔合わせをしましょう、研究室は…』、北棟か。なあ佐々、連絡きてたからちょっと行ってみる」
「おう、良さそうだったら俺を呼べよー」はいはい、と適当に返し、俺はジャっと手を挙げ、自習室を出た。
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