4の2話 襲来
「きいたよー? 新婚早々、別居してるんだって? なんか面白そうだから実際来てみたら、リアルタイムでケンカ中とか。あーやだやだ、こりゃ昨今話題のスピード離婚間近ってやつなのかしらっ」
「そ、そんなこと」
「へー。違うの? でもお姉ちゃん言ってけどなー、顔も合わせたくないってー」
「――っ!」
ズキリと、胸が痛む。
改めて、自分達がケンカ中であることを思い知らされ、
「……」
「……そんな露骨に傷ついた男の人の顔、
「……やっぱ、怒ってた?」
「そうねー、それはもう、怒り狂ってたよー? お姉ちゃんのあんな様子、久しぶりにみたもん」
「えっ! ま、まじで?」
「うん。あれはもう、相当尾を引くと思うなぁー」
「うッ……」
「……謝らないんだ?」
「……」
「ぷっ、何その、だってあっちが悪いんだもん、みたいな顔! ……
「う、うるさい」
「ねぇ、
その問いは、非難でも嘲笑でもなく、純粋な好奇心から来ている。
彼女の目が、そんな色をしていて。
僕は少しだけ、気恥しくなりつつも、
「……ダメだよ」
「……独り占め、したかったんだ。……僕は
「……彼女を独り占めしたい。
「ふーん。なんか、思ってたよりずっと子どもというか、自分勝手な理由ねー」
「そう、自分勝手なんだよ僕は」
「……少なくとも、周りのことが余裕で見えなくなるくらいには、
「……聞いていて恥ずかしくなってきたよー。……じゃあ、早く謝っちゃえばいいのにー」
呆れたように言う
「いや、それとこれとは話が別だから」
「面倒くさいなぁー。まぁ、でも……」
ふっと
「……
「……? 何が?」
「ねぇ
「いいこと?」
「そう。……自分から謝らずに、この状況を打破する方法ー」
「そんな方法、あるわけ……」
「――あるよ?」
「え?」
突然グイッと引き寄せられ、
「えいっ」
女子中学生の華麗なる足払いによって僕は床に倒れ、
「よっとー」
その上に、
彼女の髪の先が僕の鼻にかかり、途端に女の子の甘い香りが充満する。
「……ねぇ
「……
「……はッ!?」
「簡単なコトだよー。そもそも今回のケンカって、
「引き受けるって、……いやいやいや!」
「……大丈夫、
するすると、制服のリボンが僕へとこぼれ落ち、
姉よりも若干豊かなふくらみが、そっとその白肌をチラ見せして。
「……
僕は長い間蓄積した、
「だああああああああああああああああああすっ!!!!!!!!!!!!!」
突如、押し入れの扉が叩き開けられ、僕の心臓が破裂しそうになる。
そこから出てきたのは、……い、
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