第10話

朝、学校に来て下駄箱を開けると手紙が入っていた。

そんな、アニメじゃないんだから、と思いながらも健全な男子中学生、手紙はポケットに入れて、教室へ向かう。

授業中に誰にも見られないように読む。

掻い摘むとこういう内容だ。

今日の放課後図書準備室に来いと。

図書準備室とは図書室の奥にある、本を置いておく倉庫のようなところだ。

名前は書いてなかった。

おいおい、茜がすぐそこにいる所でで告白されるってのか?

もちろん今日も図書委員はある。

まぁ、図書委員をサボる訳にも行かないし、逃げるのもなんか悪い。

と早めに決心して日課をこなして行った。

そして放課後、図書室の扉の前で俺は少し立ち止まった。

さて、鬼が出るか蛇が出るか。

開けると図書室には誰もいなかった。

茜すらも。

茜がいない図書室は初めて見た。

だが呼び出されたのは図書準備室だ。

茜がいないのはむしろちょうど良かったかもしれないと思って図書準備室に入る。

そこには茜が2人いた。

いや、藍と茜が二人でいたのだがどちらも無言でどちらがどちらかわからない。

いつもなら仕草や顔、喋り方で分かるのだかそれらの情報がなくなった途端にわからなかったのだ。

俺はどちらがどちらか分からないことを隠すためにこう言った。

「2人が1緒にいるなんて珍しいな。どうしたんだ?」

向かって右側の茜が


「君に伝えないと行けないことがあるの。」


「それはとても大切なことだからしっかり聞いて欲しい。」


左の茜が最初に、右の茜は次に口を開いた。

やはりどちらも茜の話し方だ。

「ああ、じゃあこの手紙も二人からだったのか?」

手紙を取り出しながら言うと


「うん、万が一があっては行けないから。」


「じゃあ始めるわよ。」


そうして茜から衝撃の事実を聞くのであった。

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