第6話

気がつけば金曜の放課後だった。

俺は足早にいつもの図書室へ向かう。

図書室では既にいつもの如く茜が先にいた。

俺は彼女より先に図書室にいた試しがない。

「おーっす、今日は、あれ返却本が無いな。久々に暇な日だー。」

そう言いながらも内心は残念に思う。

なぜならこういう日は茜は本を読むからだ。

別に本を読むのが悪いのではないが、彼女の集中を妨げるとまずいと思い話しかけれないのだ。

仕事があるなら仕事にかこつけて話をできるのだが。

まぁ、仕方が無いな。

そう思い俺も本を探す。

今日は巌窟王を読むことにしよう。

茜の向かいに座り巌窟王を読み始める。

俺も茜も読むのに集中しすぎてたようだ。

気がつけばチャイムがなり5時になっていた。

「とっとと日誌を書いて図書室を出ないと、また先生に小言を言われちゃうな。早く書こーぜ。」

そう言って日誌を書く。

特に書くこともなかったから巌窟王の感想でも書くことにする。

そして茜に渡すと、茜は流れるようなペン遣いで日誌を書きあげた。


「じゃあ、戸締りをするわ」


そう言って窓の鍵や電気を確認すると。


「閉館します」


図書室のドアを閉めながら言った。

「鍵は俺が返しておくよ、あんまり仕事無かったしな」


「そう、じゃあお言葉に甘えて。また来週ね。」


茜は小さく手を振り、玄関へ向かった。

来週は驚かせてやるぞ!

そう決心しながら俺は大きく1歩踏み出した。

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