第4話「修学旅行・2日目朝」
「あ〜あ。」
「ようやく目覚めたか、中田。待ちくたびれたぞ。」
高田か。…ん?なんか高田、目の下にクマできてね?
「高田、お前何時に起きたの」
「ハッ、決まっているだろう。神が目覚めるさらに前だ!」
「あー、日の出前から起きてたの。そりゃ寝不足になるわ。」
こいつの言う「神が目覚める」の神は多分太陽の神的なやつだと思うから多分日の出前から起きてたってことだろう。まあ多少早起きしたところでクマができるほど寝不足にはならないと思うのだが、もしかしてこいつ、昨日23時ぐらいまで起きてたのかな。
「高田。お前昨日何時に寝た?」
「えーと…23時30分ぐらいかな。」
「!?」
たたた、高田が、普通に喋った!?もっと、なんか、「漆黒のなんとかかんとか」とか言うかと思ってたのに!?え、えええ!?
『皆さん、おはようございます。現在、朝の6時半です。部屋にまだ夢の世界から帰ってきていない人がいたら、連れ戻してあげてください。』
なにやら面白い放送がされると、同じ部屋にいた田本くんが隣で寝ている坂場くんを起こしていた。
「坂場!坂場!おーい、坂場!起きろ!おい!戻ってこーい!」
「あ、あと5分だけ……ハッ」
ここが家じゃないことを思い出したのか、坂場くんは恥ずかしそうに身を起こした。
『えー、食事担当の鬼瓦です。あと5分で朝食の時間です。間に合わなかったら、朝食抜きとされていただきますので、急いでください。』
「あ、あと5分!?」
この旅館はとてつもなく広く、端から端までで東京ドーム1.5個分の直径がある。で、ほぼ東端にあるこの部屋から、真ん中にある大広間まで、距離にして約180m。しかも大広間は1階、ここは5階。5分でたどり着くなど不可能に近い。
「なあ、高田…」
「どうした中田。」
「エレベーター行くぞ。」
そこへ田本が入る。
「本気!?エレベーターって使っちゃいけないんだよね?」
「俺は乗るぜ…どっちにしろ歩いたら間に合わねえんだからよぉ。」
「さ、坂場ぁ…」
「よし!行くぞ!」
俺たちは、エレベーターへと、走り始めた。
「ハァ、ハァ…ここか…」
「悩んでる暇は無い!乗るぞ!」
「おう!」
エレベーターが動く。すると約20秒でたどり着くことができた。
「あと180m!走るぞー!」
「うおおおお!」
「来ていないのは…中田のグループか。…残念だが、朝飯抜…」
「先生!ハァ、ハァ。来ました!」
「おお!ギリギリだな。あと10秒で時間切れだった。」
「めっちゃ走ったので腹減りました!」
「……走った?」
「はい!間に合うように走りました!」
「朝食抜き!」
旅館ではマナーを守ろうね。
病にかかった友人 きのこ @mushroomdayo
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