本庄と卒業

 卒業である。かなりの長い年月をかけ、新入生の生まれ年を聞いては卒倒するようになってから早数年、卒業がついに決定した。あの本庄照が。

 一生かけて学生をしていると思っていたとは本人の談である。てか一生学生できるもんならしていたいが……。


 本庄照はご存知の通り留年している。試験はほぼ全て過去問の一夜漬け、その結果試験の点がえげつなく悪いのは昔からなのだが、一科目だけ滑り込みセーフが効かずに留年した。わはは。残りの科目も全部CかD、GPAはついに2を超えることなく卒業してしまった。


 Cを取った科目を得意科目だと嘯いていたら、同じ科目の成績がBで嘆き悲しんでいる友達に生暖かい目で見られた。冷たい目の方がまだマシである。


 人には得意不得意があるんだぜ(全部不得意)。


 苦難の歴史たる留年から随分経ったが、残念ながら随分経ってしまったせいで(せいで?)、喉元を過ぎれば熱さを忘れてしまい、卒業するにもまあまあ苦労した。


 今日数えてみたら、卒業するまでに余計な試験を23個ほど受けていた。読みにくいので漢数字ではなく算用数字である。

 いずれも、勉強していたら受けていなかった試験である。

 ちなみに、卒業に関してだけで、三度大学に呼び出されて面談を食らっている。こちらは漢数字だが、漢数字でも見やすい数字ながら面談にしては数が多い。

 こちらも、人間として最低限の勉強をしていれば呼び出されることはなかった。


 面談の内容はほぼ説教なのだが、向こうというか先生側は何せ優秀な成績で大学を出られた方ばかりなので、バカの気持ちが分からない。

 なぜ勉強しないのかと言われても、勉強しない理由は自分でもよく分からない。だって勉強したことないしな。


 勉強しろよ……。


 しかし勉強しようと思ってできたら苦労しないわけで、もちろん本庄は勉強しなかった。本庄が勉強したことはかつて一度もない。勉強しろよ……。

 どいつもこいつも卒業スレッスレのバカが揃った試験を受けてきたので、その話をしよう。


 卒業スレスレのバカが一つの試験に固まる理由はいろいろあるが、集まったものは仕方ないので、その中から卒留が決まるバトルロワイヤルである。


 この中から何人卒留し、内定がめちゃくちゃになって内定先に迷惑をかけまくるのかが決まるわけで、かなり緊迫した試験会場である。内定が出てない人も……中にはいるかもしれないが。通夜が可愛く思える湿っぽい雰囲気、皆さん一度はぜひ体験していただきたい。


 内容もかなりウワ〜ッな試験で、試験作問者はバカまみれの学生が自分の作った大事な問題を解いているとは全く思っていなかったのだろう。平均点が怖い。

 というか他の試験を作った余りの問題を出してんだろうなって印象だった。それも含めてのウワ〜ッである。


 しかし! 葬式もびっくりの雰囲気とは裏腹に、今年は卒業数が増えた。本庄は本当ならたぶん単位は取れなかったし、卒業はできなかった。でも単位は出た。思ったよりもたくさん。へへっ、運が良かった〜〜!


 というのも、ゴニョゴニョゴニョゴニョ……な事情で、今年中に大学を卒業せざるを得ない人がいたのである。その人のオーラというかなんというか、その人に助けてもらった。

 何年在学している方なのかは自分も知らない。マジでラッキーだったよ、この人がいる学年にいられて。いや、最初は違う学年だったんだけどな。留年したからな。


 というわけで卒業である。


 オチつけんの忘れたので、今回は最終回じゃないことにする。次は草むしり検定の回にでもしよう。

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