本庄と素人質問ですが
「素人質問ですが」という言葉がTwitterで流行っているらしい。いや、今までも有名は有名だったけど。
「素人質問ですが」、これは、学会で発表をした弱小演者に対して、えらーい教授とかが質疑応答タイムに手を上げ、難しい質問をして演者をコテンパンにするときに使う言葉である。要するに文字通りの
お前絶対に素人じゃねーだろと誰もが思っているし、本人も自分が素人とは思っていないのだが、もし何かを聞き逃していて恥をかいたときのために保険をかけて「素人質問ですが」という言葉を接頭辞にするのである。
というか、発表の根本的な部分に疑問が生じた時に考えられるのは、発表者が相当ヤバいか教授が全然話を聞いていないかのどちらかだ。教授も、さすがに発表者がヤバいと決めつけるのは良くないと思い、自分に非がある場合も想定しておくのである。だが、実際には発表者がヤバいパターンがほとんどであり、殺戮が起こる。世の中は無情である。
なお、教授さんは保険をかけているつもりだが、その保険はほとんど使われることはない。こういう相手を殺戮する質問の時に失敗して保険を使わざるを得ないような人間なら、そもそも教授になってねぇからである。
「素人質問ですが」の他には「この分野には詳しくなくて」「聞き逃していたかもしれませんが」「見当違いのことを言っていたらすみませんが」などもあるが、全部同類である。よくもまあこんなにたくさんのバリエーションが増えるほど、多くの学生を殺戮してきたものよ(古文の書き下し文風)。
本庄自身は学会に出たことはないが、学会の雑魚バージョンである学生発表会には参加したことがある。そしてこの場でも教授陣による殺戮が繰り返された。
「素人質問ですが」にもさらにパターンがある。教授にも様々な性格の人がいるからだ。
性格の悪い先生は、学生を本気で殴るマン(そして学生殺すマン)と化し、学生をボコボコにする。一番怖かったのが「あなたの出しているそのデータは、時期的に学生が取れるものではないですよね。先生が取ったデータではないですか? あなたたちは何をしていたんですか?」という質問である。
学生と一緒に、担当教員も暗に「テメー学生にちゃんと実験させてんのか」と殴るに等しい質問だ。同業者をボコボコにしていくスタイル、めちゃんこ攻めている。
性格がいい先生は、基本的にフォローに入ってくれる。短い質問タイムを、簡単な質問で潰してあげようという意思である。だが、その善意も裏目に出ることがあって、誤射で学生が死んだりする。まさかこの程度の質問にも答えられないとは……、というのが教授のお気持ちである。
優しい教授も、学生のアホっぷりを知らないと、このような悲劇を起こす。物心のついていない子供がアリを踏み潰しているに等しい。
中には変人の教授もいる。東大出身で自身も東大でずっと教えており、最近うちの大学に来た教授(うちの大学と東大ではあまりに格が違うので、陰で左遷と言われているが)がその例で、何も考えずにフリーダムに質問をすると、そこそこ簡単な質問でも学生は死ぬ。
なんで死んだんだろうなぁという顔をする教授だが、あんたが握手を求めて差し出したその手が、目潰しとなって学生に刺さっているからだよ。
クソ教授? 学生発表中は寝てました。(マジ)
まあ本庄は発表しなかったんだけどね〜。一ミリも関与していない研究に名前を入れてもらって単位をもらってしまった。本当は一応ちゃんと研究していたが、何種類もの発表を事前にチェックしたくなかったうちのボスが一つにまとめてしまったのである。そんなのアリかよ? アリです。
なので、本庄は必殺「素人質問ですが」を喰らったことはない。助かった助かった。でもいつか発表を聞く時には、「素人質問ですが」のような意地悪はしないようにしよう、と思う。
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