本庄と病院

 本庄は歯医者が大嫌いである。

 昔から虫歯体質で、飲み会でベロンベロンになっても歯磨きを欠かさないレベルで歯磨きしているのにめっちゃ虫歯が多い。ちょっと磨き残しがあるだけでそこから虫歯が増えに増える。


 なので本庄にとって歯医者は虫歯を治療する嫌な場所である。歯を削りに削り、クソ高いセラミックも結構入れてるので、自前の歯は齢21にしてかなり少ない。おい差し歯とか言うな。あれ1本4万するんやぞ。

 本庄は8020ハチマルニイマル運動には多分参加できない。それどころか、気持ちだけならすでに総入れ歯にしたい。80歳に20本歯を残すって無理じゃね。すでに結構怪しいのに。


 歯医者だけでは収まらず、病院の類も大嫌いである。

 風邪は一ヶ月くらい長引いて初めて受診する。おかげで、近所の内科ではたぶんめっちゃ気管支炎になる人だと思われている。肺がほんのり白く染まったレントゲンがカルテに大量にあると思う。


 また、階段から落ちてもその部位が動いてたら基本病院に行かない。ぎっくり腰と骨折は病院に行く。

 そこのお前! 笑ってるけど、ぎっくり腰はある日突然来るからな! 本庄の場合、ぎっくり腰になった友達を笑った一週間後とかに来たぞ!


 最近、新型コロナウイルスの件で、数日ほど熱が出たら病院を受診して発覚した人とかを結構見かけるが、あれめっちゃ偉いと思う。ていうか、テレビでやってる、重大な病気が発覚する系、あれちゃんと病院に行っててめっちゃ偉いと思う。なんなら、本庄は皮膚科とか眼科みたいな生命に直結しない系の病院にはまず行かないからね。大学入ってからは、内科と整形外科しか行っていない。


 かといって、病院そのものが嫌いなわけではない。病院で待たされるのが嫌なわけでもない。友達が入院したらお見舞いに行くし、医療ドラマとかも結構見る。白い巨塔とコードブルーと救命病棟24時は推しドラマである。近所の病院の喫茶店でコーヒーをテイクアウトしに行くこともよくある。治験みたいなのに参加して、病院でいろんな検査を受けてお金をたくさんもらってウハウハになったこともあった。脳みその形を検査するだけで6000円はおいしい。脳が空っぽ? 黙らっしゃい。


 おそらく、本庄は患者になることが嫌なのだ。変なところから歯が生えてきた時、でかい病院の歯科に回されたが、あれもめっちゃ嫌だった。何度も通院させられるし、問診を受けてよくわからん検査に回されるし、結構お金取られるし(保険診療でこれなんだから、実際にかかっている費用を見たら卒倒しそう)。


 うわあこれだけお金飛ぶんだったら、ご飯一回行けるじゃんとかいう発想になる時点で割と終わっている。


 世の中、健康第一である。病院に行きたくないからこそ、健康には気をつかわないといけない。その割にはサラダとか全然食べないけど。


 あのでかい病院にかかって良かったことと言えば、病院の入り口で入院患者が点滴を引きずり、震えながら煙草を吸う光景を見たことくらいである。病院内が禁煙だからだ。しかも一人や二人ではない。申し訳ないが、あれは笑ってしまった。そこまでして吸いたいという情熱、本庄は買いたい。

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