episode 7 ???
「あれっ、わざわざご主人様のほうからお越しになるなんて珍しい。どうなされたのですか? 定時連絡でしたら、まだ先では——」
「こらこら、ケリー。お主は本当に隠しごとがヘタじゃのう!普段なら、定時連絡のタイミングじゃなくても何度でもわらわのもとに来て、ペラペラしゃべるのがお主の趣味のようなものではないか。それがピタリと来ぬとは、何かやましいことがある証拠」
「……ギクッ」
「おそらく、勝手に葉隠月葉でも起こしに行ったのであろう?」
「アハッ、知っておられたのですか? それならそうと最初から言ってくださいよ! もう、ご主人さまもお人が悪い——」
「コラッ、調子に乗るな」
「ひいっ、申し訳ございません……」
「……まぁ、お主のしたことは組織の建前としては褒められぬが、ここだけの話気持ちは分かるぞよ。して、加勢の約束は取りつけたのであろうな?」
「はいっ、それはもうバッチリ! 交渉事なら誰にも負けません!」
「お前の欠点は、そうやってすぐに調子に乗ることであるな。さっき怒ったばかりなのだから、もう少ししおらしくしておれぬのか?」
「……重ね重ね、スミマセン」
「でもあの闘いの神、たいへんに気まぐれな性格じゃと聞いておる。地球に来る前に、寄り道などしないとよいが。まっすぐ来てもらえぬと、状況的に困る」
「ああ、寄り道しないで早く来るようにとまではとても言えませんでした……」
「まぁ、神相手にしゃべっていたら、それも仕方ないな。おお、ところでお主、近頃クレアとリリスを探偵のように尾行しているやつがおるのに気付いているか?」
「え、マジですか? それは影法師と紅陽炎以外で、ということです?」
「マジですか、じゃないだろう! それでもお主はわらわの片腕か? もちろんそやつは、この星の人間じゃ」
「私は諜報活動はホント苦手でして。私の本職がネゴシエイター(交渉人)なのはご存知でしょうに……」
「ああ、こんなことなら母星からもう一人部下を連れてくるんじゃった。お主との地球への二人旅はちと無謀であったか」
「話を戻すようで恐縮ですが、リリス様とクレア様を嗅ぎまわるような人物とは一体何者でしょうか?」
「王女たちをつけ回している者も、正確には分からないがかなりの能力を持つ者と見た。それは我々とは関係のない能力で、この星の者独特の『超能力』とかいうものじゃろう。そしてどうやら、その超能力者の背後には、この星の大きな秘密組織が関わっているようじゃ」
「秘密組織、ですか……警察とかじゃなく?」
「わらわの調べたところ、『特殊科学捜査研究所』という名称の組織であることまでは突き止めたが、この星の人間もまるっきりバカではない。さすがに深いところまで実態を調べるのは苦労しそうな感じじゃ。ま、事態が動けばいずれむこうの目的も分かってくるじゃろうの」
「そんな……ご主人さま直々にそこまで動かれては…このケリーの面目が立ちませぬ」
「気に病むな、ケリー。全部お前に任せていたんでは、わらわもヒマなのじゃ」
~episode 8へ続く~
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます