episode 3 ???

「急に何だ。まだ、定時報告の日まで間があるはずだが」


「そうなのですが、どうしてもお耳に入れておきたいことがありまして」


「申せ」


「……地球に来たのはどうやらあの『影法師』だけではないようです」


「それはまことか?」


「驚いたことに、影法師本人も知らなかったようなのです。さすが悪魔の知恵が働く黒のリディアです。敵を欺くにはまず味方から、というわけでしょう。まぁ、皮肉な話こちらはもう気付けたわけですけどね」


「影法師で万が一仕留められなかった場合の保険、というわけか。恐ろしい念の入れようであるな。凄腕の影法師すら容易に信じぬとは」


「姫も、炎羅国王家の血筋に住む精霊の力はご存知でしょう? 星ひとつ、破壊する力もあるそうじゃないですか」


「知ってはおるが、あくまでも伝承の知識にすぎぬ。この目で見たわけではないから、半信半疑でな。本当にそのように強いものなのかのう? 一番の問題は、あやつらが能力と自らの使命に目覚めるのが早いか、それとも目覚めてしまう前の力の操れない時期に仕留められてしまうか、じゃな」


「姉のほうが追いこまれて、一度『火燐弾縛呪かりんだんばくじゅ』を使いました。ですが、一時的に本能が身を守ったに過ぎず、自分の意志で使う域にはまだまだかと」


「……姉がまだそのような状態なのに、影法師に加え刺客がさらにもう一人、とな。これは、助っ人が必要ではないか? 誰が適任だろうか」




「……あの者ではどうでしょう」


「あの者?誰のことじゃ」


葉隠月葉はがくれつきはですよ。この宇宙で知る限り最強の剣士」


「おお、魔を撃つために過去の剣豪の魂が集まって生まれたという、あの爆弾のようなおなごのことか? しかしよいのかのう……あの者は、人間を超えた神や悪魔のような存在に対抗するための最終兵器であるぞ。いくら影法師が凄腕の暗殺者とはいえ、普通の生命体相手にあやつを起こしてまで使うほどのことだろうか?」


「そうですね、この件はもうすこし考えてみる必要がありそうですね」


「頼むぞ。もう時間がない。もし、こちらが有効な手だてを考えつく前にあの双子が襲われるようなら、お前が出張れ。正体がバレるが、後のことはやりようでどうにでもなる」


「ハッ、このケリー、命に代えましても王位継承者をお守りいたします」




 ~episode 4へ続く~

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