第21話 仮にも刑務所予備軍

 拘置所でまだ【推定無罪】とはいえ、裁きを待っている身な祐介含め中の人々。

 当然刑務所に準じた規則が多々ありそれを破ると罰則がある。


 その1つ【賭け事】。


 物を賭けるなんて以ての外で、見つかれば即調査。


 この日祐介達は北岡の提案でキャ〇メルコ〇ン争奪将棋大会をする事に。

 当然部屋で1番強い祐介に部がありすぎるのだが、その祐介を倒すと言うのが1番の目的であるらしかった。


 総当たり戦を組み、1局、また1局と指してゆく。そして何戦目かの時――。


 「おい、お前らなにやってるんだ!」


 廊下の方から声がした。

 その方を見ると、【副担】のオヤジだった。


 担当には【正担当(正担)】と正担が休みの日や休憩中等不在の時に変わりにいる【副担】がいる。

 そしてこの副担はガタイもデカく相撲取りのような体型から【琴奨菊】と密かに呼ばれていた。


 その日たまたま担当していた琴奨菊はお偉いさんを連れ見回りをしていた。そんな時運悪くお偉いさんが祐介の部屋を見た時ちょうど将棋をしていてそこに集まっている祐介達を見つけたのだ。


 そしてさらに運悪く、ノートに勝敗をメモしていた事から何か賭け事をしているのではと疑われたのだった。


 「お前何してる?そのノート持ってこい!」


 ノートに記録していたのは北岡だった。北岡はすぐにノートを持って琴奨菊の元へ行く。

 琴奨菊が扉を開く。

 この扉を開かれるという事は結構怖い。

 例えばそれが運動に行く時や面会の時等はだいたいの時間や部屋に来たオヤジに告知されるので大歓迎だが、なんの前触れもなく扉を開けられると何も無くてもちょっとビクつく。

 ノートを見た琴奨菊は勝敗表を見ると北岡を睨んだ。


 「お前ちょっとこい!」


 こうして北岡は琴奨菊に連れていかれた。


 「これやばいかもしれんね」

 「北さん調査かな?下手したら懲罰行くかも?」

 「俺らも調査なるかもしれんよ」


 どれくらい時間がたっただろう。30分?1時間??しばらくして北岡は戻ってきた。


 「熊谷!お前の名前も出とるぞ!!」


 そう言うと琴奨菊は去っていった。


 「北さん大丈夫やった??」

 「なんとか誤魔化しといた。ただ誰が強いか決めたかっただけって」

 「ほんっと危なかったね!」

 「あんの琴奨菊…お偉いさんが来てるからって調子にノリやがって…」


 と散々みんなで愚痴りあった。結局キャ〇メル〇ーンは1番✕ひいた北岡が獲得することになった。


 これは拘置所での出来事だが、仮にこれが刑務所であるならば調査懲罰になっただろう。

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