第9話 再逮捕

 起訴されて数日が立った。その数日間何も無かった祐介に調べが入った。


 そこで待っていたのは再逮捕の通知。祐介が自供していた事件の中の1つから追起訴する為にまた再逮捕したのだ。

 だがこの追起訴したからといって別の事件として2つの裁判をする訳ではなく、それらをまとめて1つの裁判をする。ただこれによって量刑が増すのは間違いない。


 検察官は量刑が重くなるほど実績が良くなり給料に反映されるとの噂で、刑事もまた、明らかになった犯罪か多いほど給料反映するらしかった。

 それらが足りないとネズミ捕りやら交通違反の取り締まりをするらしい。

 警察官が交通の取り締まりをする時隠れているのはこの為だとの噂だ。


 そうでなければ交通違反をしないように見張ってますよと公に姿を現し、前もって違反者を減らすのがほんとの在り方だと思う。だがわざと違反を起こすのを見てから検挙と言うのが今の警察の姿なので気をつけよう。


 話に戻ると、性犯罪や窃盗などの事件ではだいたい余罪がたくさんあるのが普通である。

 窃盗や性犯罪は1度体験してしまうと理性がはずれ、次から次へと起こしてしまう。それ故に余罪もいくつもありさらには再犯してしまうこともある。麻薬とは別の味があるのだ。


 そういう事で祐介も再逮捕されてしまった。事件は2年前のもの。起訴状を公訴事実だけに略歴すると


 被告人は徒歩で通行中の加藤涼香(当時21歳)を認め、同人に強いてわいせつな行為をしようと考え、平成26年5月10日午後6時25分頃、F県D市S三丁目1番17号付近路上において、同人に対し、その背後からいきなり抱きつき、その着衣の上から同人の右の乳房を右手でもみ、もって強いてわいせつな行為をしたものである。



 というもの。警察は時効さえ迎えていなければどれだけ昔のものだろうと検挙してくる。たとえそれが誤認逮捕であっても。


 そしてまた祐介の調べが始まった。調べは大変だった。何せ二年前。覚えてない事も多い。聞かれることは事件を起こした場所、被害者の特徴、逃走経路、事件を起こすまでの経緯、一挙手一投足まで隅々まで。

 覚えてないことが多かったせいで、事実を結びつけるためにお互いに妥協することとなった。

 そしてまた、検察庁に行き裁判所に行きと同じ流れを繰り返すのである。

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