暗闇に溶けて

「さて、それじゃあいくぞ。崩れてこないか上を見ていてくれ」

 ガツッという衝撃音。掻き出された土がパラパラと暗闇に散っていきます。

 ウィゼルは大きな石の上に立ちランプを持った腕を目一杯伸ばして、土砂の壁を掘るレイゼンの手元を照らしていました。少し離れたところからミュリが心配そうに見つめていました。

「どうですか?」

「土が細かい。土留めが必要だ。積んできた資材でなんとかなりそうだが、あとはこの壁が薄いことを祈るばかりだ」

 レイゼンは土を掘り出す手を止めることなく答えました。


 それからしばらくウィゼルたちは土留めに必要な物資を荷車から運び出す作業を手伝いました。積み上がった資材の中からウィゼルが手頃な板材を選び出してミュリに渡し、ミュリはそれをレイゼンの元まで運んでいきました。

 レイゼンはスコップで土を搔き出しては石や木材を突っ込んで、少しずつ空間を確保していきます。

 ザク、ザク、コロン、コロン。土を掘る音と木材のぶつかる音が暗闇に響き続けました。


 やがて、大人の身体ひとつ分ほどの奥行きの穴が空きましたが、未だ向こう側へつながる様子はありません。レイゼンは屈んでやっと入れるほどの狭い空間に潜り込んで更に作業を続けました。時間の感覚も失い、ただ終わりの見えない疲労ばかりが溜まっていきます。

「とんでもない仕事になったな」

 もしかしたらこの先どこまでも土砂に埋もれているのではないか。そんな嫌な想像に気が遠くなるのを誤魔化すためか、レイゼンは誰に語りかけるでもなく、しきりに何事か呟いていました。



 もう一夜が明けたのではないかと思うほど長い時が経った頃、ついにレイゼンの目の前に空間が開けました。暗闇に沈む空間へランプを向けると足元に土砂の斜面が広がっています。

 レイゼンは喜びの声を上げる気力もなく、ただ息をつくと、出口付近の補強を行い、自ら通した穴を這いずりながら戻っていきました。


 ウィゼルたちはずっと小さなトンネルの手前で待っていました。やがて満身創痍といった様子で穴から出てきたレイゼンを見てウィゼルは動揺します。作業を始める前とは別人のように疲れ果てた顔をしていました。

「レイゼンさん!」

「繋がった。ここは抜けられるぞ」

「ありがとうございます。私たちのために、こんな……」

「へ、そんな酷い様子に見えるか」

 そう言いながらレイゼンは両手をついたまま立てずにいます。

「見えますよ!さあ、下へ降りてお水を」

 ウィゼルに支えられながらレイゼンはおぼつかない足取りでようやく斜面を降りました。ミュリが差し出した水筒を一気に飲み干すと、そのまま木道の上で仰向けに倒れ込んでしまいました。

「すまない、少し、横にならせてくれ。俺が起きたら、この先へ……」

「レイゼンさん!」

 まるで事切れるように目を閉じたレイゼンにウィゼルは慌てましたが、ミュリは落ち着いた様子で言います。

「本当に眠っているだけみたい」

 レイゼンは大きく深い寝息を立てながら何か夢をみているのか、時折指や口元が動いていました。その様子はおぼろげにウィゼルの父親のことを思い起こさせました。



 ――――



「後は私達だけで行こう」

 暗い静寂にポツリと灯りを灯すように、ウィゼルが呟きました。

「どうして?」

「いつまでもレイゼンさんを頼るわけにいかない。ここを抜ければ、またふたりで行くことになる。何かあったら自分たちの力で解決しなきゃ」

「うん……」

「それに、ツェクレクたちの事も心配。レイゼンさんが残ってくれれば安心できる」

「私はウィゼルの安全が一番。でも……そう、ウィゼルの言うこともわかる」

「私はミュリがいてくれれば大丈夫だから、さあ、行こう」

「わかった」



 ウィゼルは食料など最低限の荷物を小さな鞄に詰め、燃石を補充したランプを片手に持ちます。ミュリはそれらの装備に加え、物資の山の中から掘り出した古びた短剣を腰に携えました。


「じゃあ、レイゼンさんをよろしくね。ツェクレク……」

 ウィゼルはツェクレクの首に抱きつきながら慈しむように頬を寄せます。ツェクレクはいつものようにグルグルと低い声をウィゼルの頬に響かせました。

 別れの言葉を受け取ったフィンク達はふたりの意思を知ってか知らぬか、深く眠るレイゼンの周りを囲むように座り込みました。



 レイゼンが掘り抜いたトンネルは身体の小さなウィゼルたちにとっても狭く、荷物を背負って通るには四つん這いで進むしかなさそうです。辺りでは時折パラパラと砂が落ち、またいつ崩落が始まってもおかしくない様子でした。

「支えにぶつからないように……崩れたら生き埋めだよ」

 ウィゼルはひとつ深呼吸をしてから、息を殺して穴に潜り込んでいきます。ミュリもすぐ後ろに続いていきました。


 トンネルの先は吸い込まれそうに真っ黒でした。地上を歩いたならあっという間にたどり着くであろうその距離が今は果てしなく遠いものでした。

 ふたりとも手足を土砂に擦りながら必死に這いました。痛みなど今は気にしていられません。手を伸ばしてランプを置き、少し前進。またランプを奥へ動かして前進。息を震わせながらそれを繰り返します。

 お互いに声をかける余裕もなくなった頃、ランプの向こうに空間の広がりが見えました。はやる気持ちに応える体力もなく、ウィゼルは最後までゆっくりと穴を抜けていきます。

「ひゃあ!」

 身体がトンネルから抜け出たと同時に、ウィゼルは小さな悲鳴を上げて斜面を滑り落ちてしまいます。

 土砂は柔らかくウィゼルが怪我を負うことはありませんでしたが、その衝撃でトンネルの下の土砂がずるずると崩れ始めました。ウィゼルは立ち上がるより先にその音を聞いて背筋が冷たくなりました。

「ミュリ!急いで!」

 ミュリはまだ身体ひとつ分穴の中にいます。ウィゼルの張り詰めた声にミュリも状況を察して慌てて穴を抜けようとしますが、腰の短剣が引っかかり思うように進めません。

 海の波に攫われる砂のように、土砂はみるみるうちに流れ落ち、上から新たな土砂を呼び込みます。ウィゼルの目の前で小さなトンネルの出口はあっさりと消え去り、崩れた砂は新たな斜面となってすぐそばまで迫ってきました。

「ミュリ!」

 ウィゼルは血の気の引いた顔でその斜面を登ろうとしますが、踏み出すたびに足下の砂はもろく崩れてしまいます。這いつくばって登ろうとしても、砂は液体のように掌から滑り落ち、身体を運ぶことができません。

「うそ……うそでしょ……ミュリ!」

 ウィゼルの叫びに応えるのはしんとした静寂ばかり。

 土砂を取り除こうにも、その山はウィゼルの小さな体にとってあまりに高く大きいものでした。


 ――何ができる……今私に何ができる?――


 鼓動が速まる。現実が遠ざかる。嫌な感覚を振り払おうと、ウィゼルは繰り返し自分に問いかけながら思考を巡らせます。


 ――そうだ、あの光……ミュリを守ったあの力は?――


 そして、かつて発現した不思議な力のことに思い至ります。ウィゼルはあの力のことをまだよく知りません。都合よく扱えるものではないとわかっていても、今はそれを頼るしかありませんでした。あの時ミュリを救えた力を。


 ――お願い。ミュリを助けたい。どうすればいいの――


 ですが、ウィゼルがいくら目を閉じて願ってもあのときのように内からの光が現れることはなく、ただ自身の鼓動が焦りを刻むばかりでした。


「なんで!なんでよ!どうして、今出てこないの!」

 気がつけばウィゼルはもう泣きじゃくって冷静さを失っていました。目の前に積もった土や砂を素手でかき分け、かき分けてもかき分けても土砂の山は一向に小さくなりません。


「私が間違えたから?どうして?そんなつもりじゃ……ミュリは関係ないのに……父さま……母さま……いやだよ……」


 ウィゼルは砂まみれの手を自分の喉にあてがいました。


 ――私の過ちでミュリが消えてしまうのなら、いっそ私も――


 指に力を込めると、反射的に咳き込んですぐに力が抜けてしまいます。ウィゼルはそのまま砂山に突っ伏して嗚咽を漏らしました。言葉にならない声が長らく静寂に沈んでいた暗闇を震わせます。


 すると、その暗闇が音もなく形を現して、ウィゼルに声をかけました。


 ――やっと一人になれたね――


 その不可思議な声にウィゼルが息を飲んで振り返ると、かつて対峙した自身をかたどる黒い影が頼りない灯りと暗闇の境界に立っていました。


 ――邪魔なものはいない。これでようやく、私と――


「あなたは……どうしてこんなところに」


 ――私がいるからでしょう。本当はもっと早く、一緒になれたのに――


「今はあなたの相手をしている暇はないの」


 ――またあの子を助けたいの?それは、本当の私なの?――


「訳のわからないこと言わないで!助けたいに決まっているでしょう!」


 ――なんだか嫌な感じ。私が、私でない――


「……ごめんなさい、取り乱して。お願い、あなたが私だというなら、力を貸してほしい。ミュリを……助けて」

 掠れた声を絞り出し、懇願するようにウィゼルは膝をつきました。誰かを頼ることが苦手だったウィゼルにとって、これほど強い願いを誰かにぶつけるのは経験のないことでした。ましてや、得体のしれない自分の影に。


 ――わからない、どうしてそれにこだわるのか。私はここにいるというのに――


「ミュリはもう、私の半分。私の命と同じなの。だから、お願い……」


 ――違うのに、同じ……なぜ?――


 自問に近い問いを浮かべた影はウィゼルの答えを待つことなく動きました。

 突然、影が揺らいで、その一部が歪に折れ曲がった木の枝のように伸びていきます。かつてミュリの身体を貫こうとしたそれは自在に形を変え、やがて人一人を覆えるほど巨大な手指の形を成しました。

 その手は轟音とともにトンネルの出口があった辺りから大塊の土砂を掴み取り、それを軽々と持ち上げると、ウィゼルの頭上を通って開けた空間まで運びました。深く抉り取られた跡にはまたすぐに砂利や土がなだれ込んでいきます。巨大な手は役目を終えると収縮して再び少女の影に収まりました。

「ミュリ!」

 土砂の塊の中にはミュリの足が見えました。ウィゼルはすぐに駆け寄って砂を必死でかき分けます。

 ミュリの身体を覆っていた砂を剥ぎ取ると、顔を触って反応を確かめました。四肢は熱を失い、息も絶えかけている様子。

「ミュリ!起きて……お願い!」

 砂まみれの身体を思い切り抱きしめたウィゼルの慟哭がミュリの意識を刺激しました。

 嗚咽のような呼吸音と共にミュリの身体が痙攣を起こし始めます。ウィゼルはそれでも抱きしめ続けます。

 そのうちにミュリは咳き込むようになって、徐々に身体の感覚を取り戻し始めました。ウィゼルはミュリの冷たい手を取って胸元へあてます。

 少しずつ、温もりが戻ってくるのがわかりました。呼びかけながら、閉じた瞼を見つめ続けます。


 ――私の、一部――


 ミュリの呼吸は徐々に平常へ近づき、指先が小さく動きます。ウィゼルの頬を涙が伝ってミュリの首筋に落ちました。

「う……」

 微かな呻きとともに瞼が開きます。

「あ……ウィゼル?」

 ウィゼルは言葉に詰まって、ミュリの胸に顔を埋めて、ただ泣きました。


「暖かい……」

「ごめんね、私が間違えたばっかりに……私のせいでミュリを……」

「……よく、覚えていない。やっぱり、暗くて狭いところは怖いんだ。でもまた、ウィゼルと一緒にいられる」


 ――やっぱり私じゃない。一体、何――


 影はランプの灯りから離れたところにずっと佇んでいました。ミュリはその存在に気づいて身体を強張らせます。

「あの……あの子が助けてくれたの。私には何もできなかった」

「あれは、あの時の?ウィゼルを連れて行った……」

「そうかもしれないし、そうじゃないかもしれない。ただ今は、攻撃的な感じがしない。どうしてだろう」


 ――わからない。もう帰ろう?帰りたい。父さまと母さまのところ――


「あなた、父さまと母さまのこと知ってるの?」


 ――私のことだもの、知っているに決まっている。大切な、父さまと母さま――


「私の父さまと母さまはもう……いないの」


 ――そんなことない。いつだって、彼処には大切な人たちがいるんだもの。だから、私は帰らなきゃ――


「彼処って、何処?」


 ――本当に忘れてしまったの?昏き淵。侵されることのない、私の故郷――


「やっぱり、あなたと私は違うのよ。私はカドゥミナの外れの小さな家で生まれた。窓から差し込む暖かい光を今でも覚えてる。あなたは私の形を真似ただけ」


 ――ああ、どうして、私には私のことがわからないの?靄がかかってよく見えない。眩しい。痛いよ――


 少女の影が手で顔を覆いながらしゃがみ込んだように見えました。苦しそうな呻きが頭に響いて、ウィゼルは心配そうに影の方へ一歩近づきます。

「気をつけて。また何かされるかも」

 手を掴んで引き留めようとするミュリをウィゼルは穏やかな目で見つめ返します。

「大丈夫。なぜだろう。少しわかってきた。うまく言えないけど、あの子は欺くようなことはしない。ただ、迷ってる」

 ウィゼルはうずくまった影に向かい合い、糸をたぐるように一歩、また一歩と、近づきます。畏れとは程遠く、ウィゼルの心は澄んでいました。


「ありがとう。ミュリを助けてくれて。あなたが何者であっても、それは変わらない事実。あなたと一緒に行くことはできないけれど、あなたを知ることはできる」

 ウィゼルは影と視点を合わせるように屈んでそっと右手を伸ばしました。恐れずに肩の辺りに触れてみると、伸びた影のようにおぼろげな輪郭の奥に確かな感触がありました。まるでひび割れた荒れ地の表面を触っているようで、冷たく、どこか痛々しいものでした。


 ――わたし、わたしは。うう――


 そのうち、触れた部分が熱で溶けていくような感覚が指先から伝わってきます。ウィゼルは自分自身が熱を発した気がして一瞬手を離しますが、魅入られたように再び手を影の中に沈めていきます。

「ウィゼル!だめ。影にのまれる」

「このままにしておいちゃいけない。そんな気がするの」

「ウィゼル……」

「私なら平気。だから、お願い」

 ウィゼルの触れた場所から腕先に向かって影が剥がれて霧散していきます。


 ――どうして母さまはそんな遠くに?――


 ――どうしてこんなに苦しいの?――


 ――どうして――


 影の左腕が元の形を完全に失うと、淡く青い光の粒子がそこに残りました。

 ウィゼルが熱く焼けるような感覚に気がついて自分の左手を見ると、黒く焦げた炭、または鱗のようなものが手の甲を半分ほど覆っていました。

「これがあなたの……いえ、私自身の……」

 祈るように手と手を重ねると、割れた岩肌のような感触に痛みを覚えました。しかしそれはすぐに溶けて、ウィゼルの左手に黒い痣だけを残して消えてゆきました。


 ――ああ、解ける。落ちる。これは――


 光鱗は影と同調し、やがて細い腕の形を成します。一方ウィゼルは左腕を押さえて、苦しそうに顔を歪めました。

「ウィゼル!」

 ミュリが駆け寄ってウィゼルの震える肩を抱きます。

「痛いの?」

「ううん、違うの。ただ、悲しくて、怖くて、悔しくて……今まで逃げていたんだ、私……」


 ――ああ、これは、なに?――


「それがあなた。私と似て、私とは違う……そう、あなたの名は『アイル』」

 その名が暗闇に吸い込まれた瞬間、影を包み込んでいた靄が弾け、少女らしい輪郭が露わになりました。その肌は夜空のようにどこまでも黒く透き通り、遠い星の河のような煌めきを内に湛えていました。


「アイル?」


「そう、あなたは『アイル』――そして私は『ウィゼル』」


「ああ、そうだったんだ……わたしは、わたしじゃなかった」

 アイルという名を得た少女の影。その声は先程までの暗闇のほうぼうから浸透するような響きと変わって、確かな指向性を持ってウィゼルたちの耳に届きました。

「でも悲しまないでほしい。私はあなたを認める。誰よりもアイルを知る、ウィゼル・アルマーダとして」

「ああ、あんなに眩しかったあなたの顔が今はよく見える。ウィゼル、あなたに何を伝えればいいか」

「わかるよ。でも私も答えを持っているわけじゃない。それはあなた自身で見つけるものだと思うから」

 

「ウィゼルはこれから……いえ、それは知っていること。この暗闇を抜けて古城を目指すのね」

「うん。アイルのことは気がかりだけど、今は私もわからないことだらけ。あなたのことも何かわかると良いのだけど」

「いいの。私はただ彷徨っていただけ。あなたに接触して何をしたかったのかも、もうわからない」

「あなたは昏き淵に帰ると言っていた。それが何処なのかは覚えていないの?」

「……それもわからない。ただそこは生まれる場所であり、帰る場所。その意識だけが私を包み、動かしていた」


「ウィゼルがふたりいるみたいだ……」

 話に入ることのできないミュリはウィゼルとアイルの間に視線を泳がせながら小さく呟きました。

 どこまでも頼りないランプの灯りを囲んで、自問自答のような奇妙な会話は続きます。


「アイル……もしあなたが迷っているのなら、居場所が見つかるまでは私達と一緒にいたほうがいいかもしれない。あなたはこの世界ではあまりに異質。ひとりでいることは危険だと思う」

「私は帰るべき場所を見失った。でも、それは遥か遠い過去から在ったはずの場所。私だけじゃない、誰かの――うう、やっぱり思い出せない」

「あなたは、あなたになったばかり。だからきっと揺れている。あなたになる前のあなたと、今のあなたと」

 ウィゼルは目を閉じて黒い痣の入った左手を胸元にあてながら大きく深呼吸をしました。

「あなたの一部をもらって、私も少しだけ感じるの。疼く、渦巻く、泥のような、誰かを、世界を、消し去りたい、壊したい。誰にでもあって、誰もが目を背けているもの。美しくあろうと、醜さを殺してきた。罪、みたいなもの」


 アイルはぼんやりと光る自分の左手を見つめて、ウィゼルと共鳴するように言葉を発します。

「見えるよ。遠いのに、溶かされるほど暖かくて、いつでもそこにある。共に在りたい、安らぎ、喜び。誰かの想い、私は知らない空」

「でも、これだけじゃまだわからない。私たちがどう在るべきか。知らなきゃいけない」

「そうだね。今はウィゼルの目指す場所に進むしかない」


 ――――


 ウィゼルはただ受け入れました。暗闇の中で独りぼっちだった少女を。

 それは確かにウィゼル自身の魂のひと欠片であったと、そう遠くない未来に思うのでした。

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