第24話 雅のお尻でXXXX

「満点よ」


 よかった――あれ?


 足がふらつく。安心したら、体中から力が抜ける。魔力を使いすぎたせいだ。

 倒れそうになった俺を、リゼル先輩が抱きとめてくれた。


「……すみません。一発撃って、これじゃ……全然ダメですね」


「そんなことないわ。ユートは普通の悪魔に比べたら、異常な成長速度なんだから」


「え……そうなんですか?」


「ええ。普通は一度で成功なんて無理。魔術式を組み上げるだけでも上出来な方なのよ?まして、こんな威力を出すなんて普通は有り得ないわ」


 そう言ってくれると、救われる気がする。しかし――、


「でも先輩、初めて見たときには分からなかったけど……この前、アスピーテが現れたとき気付きました。他の魔王候補の強大さに」


「ユート……」


「前に先輩が言ったことは脅しでも誇張でもない。魔王大戦は、魔界から選ばれた二十二人……とびきりの化物共との戦争なんだって実感しました。だから俺は――」


 言いかけた俺の口が、先輩のおっぱいでふさがれる。

「……っ!? むぐぅ!?」


 リゼル先輩は俺の頭を抱きしめ、豊かな胸にうずめさせた。

 顔全体で感じる、先輩の柔らかさ。

 先輩のおっぱいの香りで胸がいっぱいになり、甘い恍惚に気が遠くなりそうだった。


 そして頭に感じる優しい感触。抱きしめた俺の頭を、頭頂部から後頭部にかけて優しく撫でてくれた。


「大丈夫よ。『恋人ラバーズ』のアルカナの真の力はこんなものじゃないから」


「……?」


「無限の力を得ることが出来るようになるわ。その内にね」


 え……無限の力、だって?


「でも、魔王大戦が本格的に始まったら、他の魔王候補も容赦なく襲ってくる。だから、その前に実力を伸ばす必要があるのは確かよ。だから、もう少しユートには無理をしてもらうことになる。あなたの才能に頼ってしまうことになるわ……ごめんなさい」


 謝る必要なんて、これっぽっちもありませんよ。むしろ、こっちからお願いしたい。もっと厳しく特訓して下さいって。一日でも早く他の魔王候補に近付けるように。


 ――と先輩に告げたいのだが、この世のものとも思えない柔らかい物体が、形を変えて俺の顔に張り付いている。口も鼻もふさがれて息が出来ない。


 魔力を回復してもらっているのに、なぜか……気が遠く……なって……きた。


「ユート? あっ……ユ、ユートっ!?」


 マンガとかでよくある、おっぱいで窒息しそうになる――というのが、実はリアルだと俺はこのとき初めて知った



     ◇     ◇     ◇



 次の日の講師は雅だった。


 場所は体育館ではなく、トレーニングルーム。ウエイトトレーニングのマシンやバーベル、ランニングマシン等が取り揃えてあり、まるでフィットネスジムのようだった。


 一通り筋トレのメニューをこなしてゆく。


「うお~疲れた……」


 全身の筋肉をまんべんなく酷使し、俺はストレッチ用のマットの上に腰を下ろした。


「はーい、それじゃ五分休憩ねー。ぐったりしてよーし」

 雅が笑顔でスポーツドリンクを差し出した。


「ああ……サンキュ」


 受け取ると、さり気なく雅から視線をそらす。


「べつにいいんだよー? ジロジロ見たって♡」


「しかしな……」


 当然俺は運動着なのだが……雅はなぜかストレッチ素材のスパッツ。

 上も、やはり同じ素材のスポーツブラ。

 光沢のあるピンク色が、艶めかしさを助長している。


 一応服は着ているのだが、ボディラインはまったく隠せていない。

 

 はっきり言ってエロい。


 さっきからウエイトトレーニングのサポートをしてくれるのはありがたいのだが、胸の谷間は見えるし、ちょっと動く度におっぱいが揺れるので、集中出来ない。


「そんなに恥ずかしいなら、後ろ向いてようか?」


 からかうように笑って、雅はくるっと背中を向ける――が、後ろは後ろでヤバい。うっすら谷間が浮かぶ大きなお尻に目が吸い寄せられる。


「何で普通の運動着じゃないんだよ」

「それはねー……」


 雅は俺に覆い被さるように抱きついた。


「うわ!?」


「このカッコの方が、バリバリ回復するから! 効率いいでしょ?」


 マットの上に押し倒され、リゼル先輩以上のボリュームと弾力を持つおっぱいが俺の胸を圧迫する。


 おっぱいだけじゃない。こいつの体は、何でこんなに柔らかいんだ!


「さーいくよー。ぎゅーって」


 雅は俺の首に手を回し、強く抱きしめた。すると疲れ切った体に、再び力がみなぎってくる。


「どう? 元気になった?」


「あ、ああ……まあな」


 曖昧な俺の返事が気に食わなかったのか、雅は眉を寄せて何やら考え込んでいる。


「ねえユート、アタシのお尻揉んでみてよ」

「え!?」


「ほら、その方が早く元気になれるかも知れないし」


 出来るか! と思ったが、これも気のない返事をした罰か。

 雅も真面目な奴だからな。より早く回復する方法を検討しているのかも知れない。


「分かった。じゃあ……いくぞ?」


 手を雅の背中へ回し、下の方へ。


 手の平に、ふかふかのクッションのような、すごいボリューム感のある物体が触れた。


 ここか!


 俺は思いきって、指を思いっきり広げて雅のお尻をつかんだ。


「ひっ♡! んにゃぁああああああああああああああああああ♡」


 って! 妙な声を上げるなよ! 俺も妙な気分になっちゃうだろうが!!


「ちょ、ちょっと……ユート、んぁああんっ!!」


「やるからには、マジメにやるからな。より効率的な『愛魔献上ヒーリング・ラバーズ』を研究だ」


「なっ、そ、そこまでは別に……ふ♡ う、うぅんんんんっ!」


 俺は雅の反応を見ながら、指先に力を込めた。

 それにしても、何という触り心地の良さだろうか。

 低反発枕なんかメじゃない。

 指が沈み込むと同時に押し返してくる力が、何とも言えず極楽だ。


 そして何より、自分の手で確かめてみて初めて実感する、雅のお尻のボリューム感。まさに驚異。


「ふにゃぁ……あっ、いっ、ゆ、ゆーとぉ……♡」


 その間もちろん、雅のお尻を揉んでいる手の平から、じんわりと温かいものが俺の体の中へ伝わってくる。

 それは密着している体全体のどこよりも、熱い。


「も、もう……」


 雅の腰が、ぶるっと震えた。


「だめぇえええええええええええええええええええええっ!!」

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