男子高校生が朝起きて脚を攣る話

輪陽宙

自分との戦い

ブチッ!


何かが切れる音とともに俺は目を覚ました。


右ふくらはぎに熱いものが込み上げてくる。もう止めることはできない。時限爆弾が爆発するように、あるいは火山が噴火するかのように俺の右ふくらはぎは悲鳴をあげた。


うぎぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ


いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!


声にならない叫び声が俺の脳内をぐるぐると駆け巡る。こんなときは悶え苦しみたいが、動くことすらままならない。ただただ、右ふくらはぎを何とか動く両手でモミモミすることぐらいしかできない。それでも、突然訪れた最悪の激痛は収まることを知らない。


「ハァ・・・ハァ・・・」


まだ、朝の五時というのに、俺の額には汗がツツーと伝っていた。汗を拭う気力すら、今の俺にはなかった。


そろそろ、大丈夫だろうか。


初動から一分ほどたって少し脚を動かしてしまったのが、運のつきだった。


ビキッ!


くおぁぁぁぁぁぁぁぁ


ふんぬぅぅぅぅぅぅぅ


悪魔再来。


余震?いや、違う。大地震が二度も起こったのだ。今、俺を支えてくれているのは抱き枕のお前だけ。隣の部屋では妹がスヤスヤと寝ているんだろう。気楽でいいよな、こっちは年に一度くるかこないかの特大イベントが行われているのだから。


呑気な事を考えていても、痛みは一向に減らない。


確か、脚を攣ったときには水を飲むと良いとか聞いたことがあるぞ!この際、ガセでもデマでもいい!水だい!水を持ってこい・・・


どうやって水を取りに行こうか。


妹と両親はまだ寝ている。流石に起こすのは不味いだろう。寝起きの妹はマジで怖い。本気の正拳突きを喰らわせてくるからなぁー。


冷蔵庫は一階にあり、二階の俺の部屋から取りに行くのは不可能。だって脚動かないんだもん!くそっ!詰んだのか・・・俺はこのまま、激痛とともに歩んでいかないといけないのか・・・


・・・あれ?


痛みが無くなった・・・


いやっほぉぉぉーーーーい


さようなら、激痛。

おかえり、オアシス。


これで、俺はもう一度深い眠りへと戻ることができる!


それじゃーオヤスミ!


そうして、俺はまだ余韻が残った右ふくらはぎの事を気にせず、二度寝に入っていくのだった。


二時間後


ブチッ!


何かが切れる音とともに俺は目を覚ました。

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男子高校生が朝起きて脚を攣る話 輪陽宙 @wayouchuuuuu0129

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