秋の匂いがより一層切なくさせる


酷い頭痛と倦怠感に襲われながら起きるとそこは自分の家だった。

電車に乗ったところまで覚えている、ただそこから記憶が今の今までない。

あれ?先生は、ここまでどうやって帰ってきたんだっけ。

「あ、起きた?風呂借りたよ。」

タオルで頭を拭きながら見覚えのあるTシャツとハーフパンツを履いた先生が

少し心配そうに聞いてきた。

「それ、なんで着てるの?」

「え、待って。どこまで覚えてる?ていうか覚えてないの?」

その時の先生の驚き様ったらなかった。

昨夜は駅に着いてしっかり二人で家まで帰り、着くなり途中買った下着と自分の大きめの部屋着やタオルを渡し、水回りの説明をし着物もきちんと着替え、化粧も落としそのまままた居間で飲んでいたらしい。

「着物皺になる、メイクしたままなんて雑巾顔に付けてるのと一緒って、騒いでたぞ元美容部員。あんなにしっかりしてたのに覚えてないとか。酒怖いな。」

ほらっと言うと昨日着ていた着物は綺麗に干されており顔はすっぴんの状態だった。

「散々付き合わされて、透香寝落ちするし。こんな広い家、夜中一人はちょっと怖かったわ。」

私毎日一人なんですけど。

「お世話おかけしました、取り敢えずお風呂入ってくる。適当に寛いでて!」

急に恥ずかしくなりお風呂場に逃げた。

こんな醜態を晒すの初めてだ、完全に油断していた。

熱めのシャワーに当たりながら残ったお酒を抜いていく。

私は帰ってきてから一体何を飲んだんだろう。

先生の前でこんな恥ずかしい格好を見せるなんて。

先生がこの家にいる事もなんだか変な感じがする。

こんな日が来るとは思わなかった。

散々お風呂で反省をし、簡単なワンピースに着替えて居間に戻ると


「もう色々覚めました?」と笑いながら水を差し出してきた。

「はい、すみません。飲み過ぎました。」

「本当に。気をつけなよ?俺がいる時はいいけど。」



最後の一言はずるい。



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