第3話 転生した先は・・・

 目を覚ますと、軍服を着たおじさんに囲まれていた。


 空には、教科書で見た、たしかB29だったかな?


 たくさん飛び回り、雨のように爆弾を落としていた。


 目の前には飼育員と軍人のおじさんがいる。


 飼育員さんは、餌のバケツを持っている。


 明らかに、においがいつもと違う。


 いつもってなんだっけ?


 だんだん意識がはっきりしてくる。


 あぁ。


 僕は、動物園で飼育されて、観客を魅了してきた。


 時々、サーカスにも派遣されていた。


 人気者のゾウだ。


 本当に人気者だった。


 初めは長崎に連れてこられて、長い旅をしてこの東京に来た。


 長い道のりだったが、頑張って来た。


 そのかいもあって、みんなが見に来てくれた。


 楽しい日々が続いていた。


 しかし、戦争が始まった。


 戦争が始まったことで、


 お客さんはあまり来なくなった。


 それでも、大事に育ててもらっていた。


 好きなリンゴもバナナもキャベツもサツマイモも・・・


 確かに、だんだん量は少なくなっていた。


 だけど、それなりには食事ももらえていた。


 飼育員さんは、ここに来た当初から今も変わらない。



 だが、今日はいつもと違っていた。


 表情が今まで見た事が無い悲しさを放っていた。


 今にも泣きそうだった。


 だが、その手にはバケツを持っている。


 いつもよりも豪勢でいろいろな食べ物が入っていた。


 僕は、飼育員さんの表情のことはすぐに忘れ


 バケツしか見えなくなった。


 だけど何かいつもと違う。


 豪勢なんだけど何か…


 そうか、においが嫌なんだ。


 せっかく持ってきてくれたが、僕は長い鼻で押しのけた。

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