第2話 死んだ僕は転生する

 真っ白な光のあと


 あぁ・・・天国に行けるといいな


 と、ガラにもないことを考えていたが


 目の前にお花畑はなく


 薄暗く炎や煙が所々に上がり


 汚いよだれを垂らしながら歩いている


 角の生えた大きな鬼のいる場所で目が覚めたからである。



 そうか、あのトレーラーに引かれて死んだのか


 そうか、親不孝をしたからここにいるのか


 そうか、けんかに明け暮れていたからここにいるのか


 そうか、人生を最悪に過ごした結果でここにいるのか


 いろいろと考え、この地獄であろう場所にいることに理由をつけていた。


 まあ、仕方ない


 自分のせいだろうし、好き勝手に生きてきたから仕方ない。



 どこに行けばいいか分からず


 鬼に目を付けられないように歩いていると


 目の前に一筋の光が差し込んできた。


 『・・・この光の中に入りなさい・・・』


 頭の中に優しい声が響いてきた。


 小さい頃に読んだ本の中にクモの糸の話があったな。


 僕も、何か一ついいことをしていたんだろう。


 たぶん。


 何も覚えがないが、その光に入ってみる。


 すごくまぶしい光を浴びることになる。


 地獄に光。


 救いだと思っていた。


 助かると思っていた。


 安易に思っていた。


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